日銀短観:景況感、3期ぶり改善 大企業・製造業、円安追い風−−3月 |
大企業・製造業のDIを業種別にみると、「自動車」が前回から19ポイント上昇のプラス10と大きく改善した。エコカー補助金終了後の国内販売落ち込みの影響が一巡。円安を追い風に米国向けを中心に輸出が持ち直し、日中関係悪化による影響も和らいでいるためだ。全16業種中10業種でDIが改善、円安による収益の押し上げ効果で「業務用機械」や「汎用(はんよう)機械」などの加工業種の改善幅が大きかった。半面、円安で原材料費が高くなる「鉄鋼」や「繊維」などはDIが悪化した。13年度の想定為替レートは1ドル=85円22銭と、12年度見込み(80円56銭)よりも円安方向に修正された。5円近い円安修正は01年6月調査以来、約12年ぶり。景況感の改善は内需関連業種にも波及、大企業・非製造業のDIも3期ぶりに好転した。円安の恩恵を受けにくいものの、株高に伴う消費持ち直しから「小売り」や「卸売り」など全12業種中、8業種でDIが改善。ただ、円安に伴う輸入コスト上昇が収益を圧迫する「電気・ガス」や「運輸・郵便」は景況感が悪化した。3カ月先のDIは、大企業・製造業が今回より7ポイント改善のマイナス1と2期連続の改善予想。大企業・非製造業も3ポイント改善のプラス9を予測している。今回の調査で初めて示された13年度の設備投資計画は大企業・製造業が0・7%減、大企業・非製造業が2・6%減とやや慎重。13年度の経常利益計画は大企業・製造業が10・9%増と2ケタ成長を見込む。一方、中小企業の足元の景況感は、製造業が1ポイント悪化のマイナス19、非製造業が3ポイント改善のマイナス8だった。
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■ 解説
◇経済活性化が焦点
3月の日銀短観で景況感が改善したのは、昨秋から急速に進んだ円安・株高を背景に企業や消費者の心理が上向いたためだ。ただ、大企業・製造業のDIは3カ月先もマイナス1と、依然、水面下にあり、先行きへの慎重な見方もうかがえる。今後は期待先行の「アベノミクス」が大胆な金融緩和や成長戦略などで実体経済をどこまで活性化できるかが焦点だ。大企業・製造業が13年度の事業計画の前提とする想定為替レートは1ドル=85円台前半に設定された。今回の調査期間中(2月25日〜3月29日)の為替相場は1ドル=91〜96円台で推移し、日銀の追加緩和観測などでこの水準が続けば、輸出産業にとって更なる収益の押し上げ要因となる。米国や中国経済など海外経済の回復を背景に、輸出や生産も持ち直しつつあり、加工業種を中心に景況感の好転は鮮明だ。さらに、アベノミクス期待による株高は資産効果を通じて、高額品などの消費を刺激。消費関連を中心とする大企業・非製造業の景況感も上向かせており、百貨店など「小売り」は6期ぶりにDIが改善した。ただ、企業には欧州債務問題の再燃や日中関係の行方など先行き不安も残る。3月短観で示された13年度の設備投資計画が業種を問わず慎重な内容となったのもそのためだ。景況感の改善を設備投資の活発化など好循環にどうつなげるか。黒田東彦新総裁の下で今月3、4日の金融政策決定会合から大胆な金融緩和に着手する日銀には、政府とも連携し、企業や消費者に中長期的な成長期待を抱かせる政策が求められる。【三沢耕平】 ・・・ 毎日新聞 2013年04月01日 東京夕刊より
私のコメント : 日銀短観も大事な指針であるが、欧州債務問題の再燃や日中、日韓関係、同時進行問題として、直面している日本の農業問題は、今後、日本の命運を分けることとなる ・・・・等とも、私は、個人的に推察している。