米FRB議長が緩和縮小継続表明、労働市場は「完全な回復に遠い」 |
今回の議会証言は、FRB議長として金融政策や経済情勢に関し公に発言する初めての場となった。
イエレン議長は、長期失業が「異例の高水準」となっていることや、パートタイム職にしか就けない労働者の割合が「極めて大きい」状態とし、FRBが注視していく必要があるとの考えを示した。
そのうえで「いくつかの指標で見れば、われわれの経済や労働市場は正常な状態に戻っていない」と指摘。「労働市場には依然かなりの緩みが存在する」と述べた。
イエレン議長は一部の共和党議員から厳しい質問を浴びつつ、バーナンキ前議長のとった政策アプローチを踏襲していくと強調した。
米失業率は6.6%と、FRBが量的緩和第3弾(QE3)を導入した2012年9月から1.5%ポイント低下している。
ただイエレン議長は、FRBが持続可能な最大雇用と整合するとみなす水準は依然として「大幅に上回っている」との認識を示し、「労働市場の回復は完全と呼べる状況から程遠い」と述べた。
4時間以上という異例の長丁場となった質疑応答では、議長が規制問題に関する厳しい質問に時折、戸惑う様子もうかがえた。銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」の詳細については、説明する前に検討が必要と答える場面もあった。
<資産買い入れ縮小のペース>
FRBが昨年12月に緩和縮小に着手して以降、雇用の伸びが急激に鈍っている兆しが出ており、一部ではFRBが緩和縮小を停止するのではとの見方も出ていた。
だが議長は、労働市場の改善やインフレ率の上昇に関する当局者の予想が経済指標によって裏付けられれば、「今後の会合で慎重に一段と減速させる公算が大きい」とし、緩和縮小路線を変更しない考えを示した。
そのうえで、資産買い入れはあらかじめ決まった道筋にはないとのFRBの立場をあらためて表明した。
インフレ率は現時点で1.1%にとどまっているが、「最近の弱さは原油価格や非原油輸入物価の下落など、一時的となる公算の大きい要因を反映している」と分析。今後は上昇して、FRBが目標とする2%に再び近づいていくとの見方を強調した。
次回3月18─19日のFOMCで、経済見通しに著しい変化があれば、緩和縮小の停止を検討する考えを示した。労働市場の見通しが「著しく悪化」したり、インフレ率が時間の経過とともに上昇していかなかないといった非常に深刻な懸念が生じた場合にのみ、資産買い入れ拡大の検討を促す条件となるとした。
イエレン議長は、国際金融市場で最近、大きな変動が見られるとしつつ、現時点で「米経済見通しに著しいリスクを及ぼしていない」と述べた。
議会証言を受けて、米長期債利回りは2週間ぶりの水準に上昇する一方、主要株価指数はそろって1%超上昇した。市場を動揺させるような発言をイエレン議長が行わなかった点が好感された。
RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏は「バーナンキ前議長の路線を踏襲していることは明らかだ」と指摘。「FRBが年内、毎回のFOMC会合で100億ドルずつ量的緩和の縮小を継続する見通しだ」と話した。
<労働市場に注目>
イエレン議長は、6カ月以上職に就けない失業者の割合が「異例に高い」ほか、フルタイム雇用を望みながらパートタイムで働いている人の数も「非常に多い」と指摘。こうした状況は「労働市場の状況を評価する際に失業率以外の要因も考慮することの重要性を浮き彫りにしている」と述べた。
昨年12月と1月の雇用統計が軟調だったことについては「これらの統計の意味するところを解釈するにあたり、結論を急ぐようなことがあってはならない」と述べ、例年にない寒波の影響が出た可能性もあるとした。
失業率はFRBの目標水準を「大きく上回っている」とする一方、労働参加率低下の大部分は構造要因で、そのため恒久的とも指摘した。
*情報を追加しました。
・・・ 平成26年2月11日(火)、ロイター 23時56分配信 より
私のコメント : イエレン議長は、6カ月以上職に就けない失業者の割合が「異例に高い」ほか、フルタイム雇用を望みながらパートタイムで働いている人の数も「非常に多い」と指摘している点、注目に値する。