<TPP閣僚会合>交渉の漂流目前 22日スタート |
「厳しい。進展なんてまったくなかった」。日米関税交渉を前進させようと、18~20日に東京都内で開かれた日米通商当局による事務レベル協議。だが、「重要5項目」の関税維持を主張する日本に対し、米国は関税全廃の原則を一切曲げず、日本政府関係者には失望感が広がった。
政府関係者は「昨年12月のTPP閣僚会合以降、日米は仲たがい状態」と解説する。TPP全体に影響力が大きい日米が関税交渉で対立したままでは、先進国市場向けに農産物や繊維製品などの輸出拡大を望むマレーシアやベトナムなど新興国は知的財産権や国有企業改革の交渉で譲歩しない。そんな悪循環が続いている。
甘利明TPP担当相は今回の閣僚会合を目前にした先週末、急きょ訪米。米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談し、東京で事務レベル協議を開く道筋をつけた。甘利氏はこの協議で「お互いにカードを何枚か切るだろう」と述べ、重要5項目の関税で一定の譲歩案を示す可能性を示唆。交渉進展に意欲を見せたが、日米の意見の隔たりは大きく、東京での決着を断念せざるを得なかった。シンガポールで交渉を継続するが、日米とも「相手の譲歩が不十分」と、いら立ちを募らせているのが現状だ。
一方、21日までシンガポールで開かれた首席交渉官会合は、閣僚会合で実質合意を目指すための地ならしとしてルール面を中心に協議。「参加12カ国の閣僚が集まる会合は今回で最後にしようという認識でかなり前向きに進められた」(政府関係者)という。公共事業に外資参入を認める「政府調達」では最終の詰めを行い、「電子商取引」など複数の分野では協定文の詳細まで調整した。
しかし「知的財産権などでは埋められない溝も大きい」(交渉筋)。交渉官らは閣僚による政治決着に期待するが「関税だけでなく他の分野でも完全決着は困難」(交渉筋)との見方が支配的だ。
ただ「2度も続けて妥結に失敗すれば、交渉機運がしぼみ、TPPの先行き自体が危うくなる」との懸念は共通している。
このため、「今回の閣僚会合では、政府調達など数分野のみの妥結を宣言し、残る課題は引き続き2国間の事務折衝に委ねる形になるのでは」(政府関係者)との見方も浮上。そうなれば、日本が攻めの分野として位置づける「政府調達」などは交渉を閉じられる一方、日本は米国との関税交渉などで譲歩だけを迫られる厳しい立場になりかねない。
11月の米中間選挙をにらみTPP交渉妥結を成果としてアピールしようとしていた米オバマ政権。しかし、与党民主党内からも反対論が出る中、「オバマ政権はTPPの早期妥結に向けたリーダーシップを発揮できなくなっている」との見方も出ている。「米国が思い切った譲歩姿勢を示さない限り、交渉進展は厳しい」(通商筋)だけに、閣僚会合の行方は険しそうだ。
・・・ 平成26年2月21日(金)、毎日新聞 21時2分配信より
私のコメント : 日本の命運を左右するTPP交渉問題が、冬季オリンピックのTV報道ばかりに気を配り、NHKから、日本国民に、わかりやすく報道されない状況について、・・・・・ ?