<経常黒字>過去最少更新 貿易赤字響く 13年度速報 |
経常黒字は東日本大震災発生後の11年度から3年連続で大幅減少。ピークだった07年度(24兆3376億円)の30分の1まで縮小した。貿易赤字の拡大を、海外からの配当や利子収入でなんとか補った。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は10兆8642億円の赤字で、赤字額は12年度から5兆6169億円拡大。赤字は3年連続だった。原発停止で、火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)などの輸入が高止まりする中、円安で輸入価格が上昇。消費税増税前の駆け込み需要に対応する輸入も増え、輸入は前年度比19.6%増の80兆6681億円に膨らんだ。輸出は同12.2%増の69兆8039億円で3年ぶりに増加した。米国や中国向けなどが回復したが、企業が生産拠点の海外移転を進めたことなどから、輸入ほど伸びなかった。
海外からの配当・利子収入などの第1次所得収支(従来の所得収支)は同14.0%増の16兆6596億円となり、07年度以降6年ぶりに過去最高を更新。過去の対外投資の果実が順調に増え、貿易赤字を補った。
輸送や海外旅行に伴う資金のやり取りを示すサービス収支は3兆5779億円の赤字で、前年度より赤字額は6085億円縮小した。訪日外国人が増える一方、出国する日本人が減少し、訪日外国人が使った金額から日本人が海外で使った金額を差し引いた旅行収支の赤字が縮小した。
同時に発表した3月の経常収支の黒字額は前年同月比90.9%減の1164億円で、黒字額は3月として過去最少だった。また、13年度下半期(13年10月~14年3月)は2兆2911億円の赤字で、半期ベースで初めての赤字に転落した。
経常赤字は、国内で必要な資金をまかなえない状況を示す。貿易赤字が定着する中、少子高齢化で働き手が減り、高齢者が貯蓄を取り崩すようになれば、元手になる資金が減るため、日本は中長期的に経常赤字になる可能性がある。海外から安定して資金を調達できれば問題ないが、日本政府は先進国最悪の財政赤字を抱える。返済能力を疑われれば、高金利の海外資金に頼らざるを得なくなり、景気に悪影響を及ぼす懸念もある。【小倉祥徳】
・・・ 平成26年5月12日(月)、毎日新聞 11時36分配信より
私のコメント: 財務省が12日発表した2013年度の国際収支速報によると、経常黒字は12年度の4兆2232億円を大きく下回り、比較可能な1985年度以降、2年連続で最少を更新した。円安が進んで輸入額が膨らむ一方、輸出が伸び悩み、貿易収支が過去最大の赤字になったためだ。 財務省が、今回の2013年度の国際収支速報の結果を受け、徐々に、日本の為替市場、株式市場に与える影響も大きくなると思われる。