<高倉健さん死去>「黄色いハンカチ」に被災者思い重ね |
映画は、高倉さん演じる男が罪を犯して服役後、北海道の炭鉱町に元妻を訪ね、「帰りを待っているなら、目印に家に掲げていてほしい」と手紙で伝えた黄色いハンカチを見つける物語。
約750世帯の家屋の大半が津波で流失した荒浜地区では更地に雑草が茂る中、ロープに取り付けられた黄色いハンカチが浜風に揺れる。現地再建を要望する住民団体「荒浜の再生を願う会」が、映画の主人公と同様に「帰りたい」思いを重ね、震災半年後から自宅跡で掲げてきた。代表の貴田喜一(きだきいち)さん(69)は高倉さんの訃報に「本当ですか」と絶句。「私たちの世代ではあこがれの人。ショックです」と言葉を継いだ。
夏は涼しく冬は温暖。海の幸にも恵まれた荒浜が忘れられず、現地で津波被害の語り部活動を続け、市に危険区域指定の解除を求めてきた。現地でハンカチの由来を話すと、若い見学者でも映画のことをよく知っていることに驚くという。
「ハンカチは行政への反抗ではない。少しは私たちの気持ちも考えてほしいというメッセージ」という貴田さん。 震災後、映画の台本に、水を運ぶ被災少年の写真を張り付け、東北を思い続けたという高倉さんの死に「本当に悲しいし、残念です」と声を落とした。【伊藤直孝】
・・・ 平成26年11月18日(火)、毎日新聞 20時24分配信より