南海トラフ地震対策 実効性と柔軟性追求が肝要だ |
被災地の要請がなくても支援に動ける体制構築を柱に据え、移動ルート確保などの行動目標を時系列で示した。生存率が大きく下がるとされる「発生から72時間」を強く意識した内容だ。人命最優先が掛け声倒れに終わらぬよう実効性確保に努め、できる限り前倒しを図ってもらいたい。
計画はあえて大まかな内容にとどめたという。細部まで事前に決めると、想定外の事態が起きたときに混乱を招くとの判断だ。とすれば、臨機応変に対応できる柔軟性が欠かせない。国と自治体、地域が日ごろから緊密に連携し、訓練などを通じて課題を共有しておかねばなるまい。
静岡、愛媛など10県を、震度6弱以上の揺れや津波による甚大な被害が予想される重点支援対象とした。高速道路など、人や物を運ぶ大動脈となる広域移動ルートを優先的に復旧させ、24時間以内に通行可能にするという。想定の甘さに懸念が募る。
2004年9月の台風21号による新居浜市の土砂災害では松山自動車道、国道11号、県道が全て寸断され、復旧までに国道は2日、松山道は5日を要した。地震に豪雨などが重なれば深刻さを増すのは必至だ。空路や海路が使えないこともあり得る。被災地入りするルートの確保は支援の大前提であり、最悪のケースを排除せず備えておきたい。
計画通り進んだとしても、食料など救援物資の供給は4日目以降とされる。3日間は家庭や自治体の備蓄でしのぐしかない。すでに、財政難などから住民を支えきれないと悲鳴を上げる自治体もある。孤立が長引く可能性を考えれば、地域の共助も重要だ。
地理的条件や産業構造、財政力など、地域固有の事情によって求められる対策は異なる。自治体は計画の課題を洗い出し、国に対して強く声を上げる必要がある。国は財政面を含め、きめ細かな支援で応じなければならない。
被害状況の把握も大きな課題となる。東日本大震災では行政機能を失う自治体もあった。それをも上回る被害が予想される超広域災害であり、要請を待たずにDMATや物資の投入はできても、現場が必要とする支援が的確に届かなければ意味がないのだ。
南海トラフ巨大地震は、今後30年以内にマグニチュード8級以上の地震が発生する確率が70%程度とされる。明日にも起きる可能性がある、との認識を住民一人一人が共有し、備えなければなるまい。
・・・2015年04月02日(木) 愛媛新聞 配信より
私のコメント: 2015年4月8日 8時54分に 震源地 愛媛県南予 において マグニチュード 4.0 の地震が発生しました。今後も、引き続いて、余震 等に対しても、地域住民は、気をつけていきたい。