農家の“プライド”飼料米拡大の壁「食用を作りたいんだ」 福岡 |
農業活性化策として、政府が打ち出した主食用米から飼料用米への転換が、思うように進んでいない。需要が減少する主食用米の栽培抑制に加え、家畜飼料の国産化という一石二鳥を狙ったものだが、栽培農家は飼料用米の「補助金漬け」のリスクを嫌った格好だ。さらに、日本人の主食を支えてきたという農家の“プライド”が、壁となって立ちはだかる。(九州総局 津田大資)
安倍晋三政権は、戦後続いてきた米政策の大転換を図る。平成25年11月、45年ぶりとなる米の生産調整(減反)の制度見直しを正式決定した。減反に協力した農家に対する補助金を段階的に削減し、30年度にゼロにする。今年3月には、今後10年の農業の方向性を示す「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定した。この計画に飼料用米の生産拡大も盛り込まれた。
背景にあるのは、米の消費量の減少とそれに伴う米価下落、未利用水田の問題だ。米消費量は毎年8万トンのペースで減っている。交渉が大詰めを迎えた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もある。妥結内容次第だが、安価な外国産米の輸入量が増加する可能性も否めない。
また、政府には畜産の飼料に国産米を使うことで、為替変動などで乱高下する飼料代を安定させる狙いもある。輸入飼料が減れば食料自給率も向上する。
飼料用米で課題となるのは米価だ。飼料用米の販売価格は10アールあたり2万~3万円で、主食用米の10分の1程度しかない。栽培コストにそう変わりはないので、農家は赤字に陥る。
国は飼料用米の農家に対する補助金を見直した。これまでの10アールあたり8万円を、平成26年度に最大10万5千円に引き上げた。稲わらを畜産業者に売却する場合の補助金なども新設した。すべての制度を使えば、最大10アールあたり13万円の補助金が受けられる。
この結果、飼料用米の生産量は伸びた。全国の20年産飼料用米(計画認定量)は8020トンだったが、26年産は17万8486トンと22倍にもなった。九州7県でみると26年産は1万9943トンで、22年産の17倍に達した。
飼料用米の伸び率は高いが、実数はまだまだ低い。全国の米生産量は843万トン(26年産)で、飼料用米の比率は、わずか2%でしかない。
「食料・農業・農村基本計画」は、37年の飼料用米生産目標を110万トンと掲げる。現状の6・5倍にあたり、今後10年での達成は容易ではない。
◆勧められない
「主食用米だけでこの先やっていけるとは思えないが、飼料用米も補助金がいつ打ち切られるかわからない。飼料用米に抵抗を抱く農家も多く、大手を振って勧めるわけにはいかない」 JA糸島(福岡県糸島市)農畜産課の担当者は、生産現場の現状についてこう語った。糸島市は、九州の中でも、飼料用米の生産が比較的盛んな地域だ。海に近い糸島は、土壌に含まれる塩分が多く、米の代わりとなる大豆などの栽培に不向きなためだ。JA糸島によると、26年産飼料用米は410トンで、21年産に比べ4倍超となった。その糸島ですら、飼料用米栽培のさらなる拡大には二の足を踏む。理由の一つが、手厚い補助金だ。10アールあたりで販売価格2万~3万円に対し、補助金総額は13万円。収入の9割が補助金頼みとなる。一方、農林水産省は、飼料用米の補助金交付期間を明確にしていない。単年度で補助金の予算計上をしており、急な方針転換で減額されれば、農家は一気に赤字に陥る。もう一つの壁が農家の意識だ。米農家は品種改良や栽培に工夫をこらし、「おいしい米」をつくることに苦心してきた。大規模農家ほど、日本人の主食を支えているというプライドがある。飼料用米は食味は関係なく、いかに効率的で収量を多くするかが重要になる。飼料用米への転換は、米農家の「プライド」を傷つけかねないのが現状だという。とはいえ、主食用米の栽培だけで、米農家が生き残るのは難しい。九州農政局生産振興課の担当者は「人口減や食文化の変化で、このまま主食用米を作り続けても限界がある。持続できる農業のために、飼料用米に対する理解を深めてもらえるよう根気よく説明を続けたい」と語った。 ・・・ 平成27年7月17日(金)、産経新聞 07:07配信より
私のコメント: 平成27年7月24日(金)に、交渉が大詰めを迎えた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)があり、妥結内容次第だが、安価な外国産米の輸入量が増加する可能性も否めないため、山口県萩市、JAあぶらんど萩 ファーマーズマーケット運営準備室 室長 兼 金融再生プロジェクト室 室次長と私は、あぶらんど萩農業協同組合 本所にて、対談をした。
農業 産業連関分析について、その範疇理論に入っていない JAあぶらんど萩 ファーマーズマーケット運営準備室 室長からの意見は、今後、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)により、その法改正が必要となる日本の農協における金融再生プロジェクト 分野については、その内容に関して、農業における産業連関分析、それを視野に入れて、私は、その指摘をした。
このまま、今まで通り、その農協金融手法とやり方は、地域の農地所有者にとっても、あまり、そのメリットがない。また、今後、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP) 交渉の内容が、わかりやすく、その開示もされていき、日本国民の間においても、TPPに協力と理解とが進むと、今の農協金融に賛同する準組合員が、更に、少なくなる可能性もある。また、農林水産大臣のお膝元である、JAあぶらんど萩 ファーマーズマーケット運営準備室 室長から、現況をわかりやすく、全国に、その情報も発信していかないと、全国 各地域の農協は、先細りになっていくという可能性、あることを指摘もした。
今までの農村地域 少子化問題における各 農協側からの対策に、その例をとるまでもなく、農地所有者も、この度の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP) 交渉の行方を、注目している。