<韓国大統領>書面インタビュー 一問一答の要旨 |
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は29日、毎日新聞の書面インタビューに応じた。
◇初会談の期待
--初の日韓首脳会談への期待は?
◆両国は今年、国交正常化50年を迎えた。今こそ正しい歴史認識を土台に歴史を克服し、新たな未来に向かって出発する転換点を作るべきだ。韓国政府はこのような認識に基づき、両国の関係改善のため多方面で積極的な努力を傾けてきた。今回の首脳会談が、日韓の安定的な関係発展に向けた重要な契機になるよう期待している。そのためには、両国間の重要懸案である日本軍慰安婦被害者問題の進展が重要だ。今回の首脳会談が慰安婦問題の解決につながる機会になり、お互いに傷口をさらに広げることがないようにしたい。
◇慰安婦問題
--日本政府は、慰安婦問題の解決案を出す場合には最終的な解決になることを望んでいます。協力する考えは?
◆慰安婦被害者問題は、韓日両国の枠を超えた普遍的な女性の人権問題だ。両国民の傷でもあり、胸の痛む問題だ。今年だけでも慰安婦ハルモニ(おばあさん)8人が死亡し、生存者は47人だけだ。年内にこの問題が妥結し、傷が癒やされるよう心から願っている。日本政府が、被害者に受け入れ可能で、韓国国民が納得できる解決案をできるだけ早く提示することが重要だ。日本政府がこの機会に解決案を示すよう望む。過去を否定しても、決して解決はしない。今後、両国がともに発展、成長するためにも、過去の問題でこれ以上お互いに傷つけ合い、物議を醸すことがないよう心から希望する。
◇日米韓と中韓
--今後の日韓、日米韓の安保協力のあり方をどうみますか。
◆日本の軍事的役割拡大には、周辺国の憂慮が依然として残っている。日本の安保政策は、平和憲法の精神を基礎に米日同盟の枠内で、域内国家間の善隣友好関係と平和安全に貢献するため、透明性を持って履行されなければならない。私は、歴史問題で日本政府の誠意ある措置を求めながらも、安保分野の協力は維持・強化し続ける姿勢を堅持してきた。特に韓米日3国の枠組みでは協力を持続的に強化してきた。昨年12月に、韓米日で防衛秘密情報の共有を取り決めた合意文書を締結したのが良い例だ。
--朴政権下で中韓関係が強化される一方、日韓関係と日米韓連携が弱まることへの懸念が日本で広まっています。
◆域内の2国間関係をゼロサムの構図で見るべきではない。そうした認識自体が域内協力を阻害する。域内全ての国家が2国間関係を発展させ、多様な協力を進めることが各国の国益になる。韓国は、中国を含めた域内全ての国との関係発展のために努力しており、日本とも関係を強化できるよう心から希望している。
韓日関係は、韓国政府が停滞させているのではない。歴史についての誤った認識のために、葛藤と反目の状態になっていることは皆が認めている。韓米日の協力体制をさらに固めていく中で、域内の協力強化のため韓日中協力の正常化にも努力していく。
◇南シナ海問題
--オバマ米大統領は、密接な韓中関係を歓迎しつつ、南シナ海問題では韓国が積極的な役割を果たすよう求めました。
◆南シナ海は、韓国の輸出物流の30%と輸入エネルギーの90%が通過する大変重要な海上交通路だ。この地域における航行と飛行の自由は保障されねばならず、紛争は国際的に確立された規範と関連する合意により平和的に解決されねばならない。地域の平和と安定に影響を与える行動を自制するよう国際会議などで強く求めてきた。
--統一に向けた今後の具体的な考えは。
◆朝鮮半島の分断から今年で70年がたった。分断の歴史はもうやめにすべきだ。韓国政府は平和統一の基盤を構築し、実質的な統一準備のために努力している。朝鮮半島の平和統一は東北アジアに平和と安定をもたらし、究極的には、日本の平和と安全保障の増進にも大きく寄与するだろう。日本をはじめとする朝鮮半島の周辺国が、私たちの平和統一を積極的に支持し、協調してくれることを希望する。
◇日韓共通の課題
--日韓に共通した課題も多くあります。
◆両国が今後も多くの分野で実質的な協力を強めていける潜在力は非常に大きい。
たとえば両国企業の第三国への共同進出や青年交流の活性化のように、両国の類似性と相互補完性をうまく活用していけば大きな相乗効果を上げられる。人道的な問題や国際テロへの対応、温暖化対策のような、人類が直面するさまざまな挑戦への対応でも共に寄与することができるだろう。
--東北アジアの繁栄と安定のために、日中韓関係をどのように活用する考えですか。
◆日本政府がこれから、未来志向で東北アジアの平和と発展に寄与することを望む。その第一歩が、「歴史直視と未来志向」の精神で3カ国間の相互信頼と協力を増進し、協力の仕組みを発展させ、東北アジアに新たな平和と協力の秩序を実現させていくことだ。
--環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加をどう考えますか。
◆開放的で透明性の高い、包括的なTPPが、域内の貿易と投資自由化をさらに促進し、名実ともにアジア太平洋で最大の地域経済統合体に発展することを期待している。TPP協定文書の具体的内容を分析した後、国民的な共感を土台に、国内の法的手続きを経て最終的な立場を決める。 ・・・ 平成27年10月30日(金)、毎日新聞 6時10分配信より
私のコメント: 両国は今年、国交正常化50年を迎え、現在も、様々な外交課題あるが、日韓親善を祈る。