【エンジョイ!】“美しい”は元気の印 |
女性はいくつになっても美しくいたいもの。化粧をすると笑顔で会話をするようになったり、介助が必要なくなったりと日常生活での自立度が高まることも実証されている。高齢者のメーク事情を、化粧品業界やボランティア団体の取り組みから探った。
■「訪問化粧」お年寄りに笑顔
「今日は、みんなできれいになりましょうね」。山口市のサンキ・ウエルビィ デイサービスセンター山口。化粧道具が入った大きなバッグを持った女性たちが、集まったお年寄りに声をかけた。
高齢者に「訪問化粧」を施すボランティアを約20年続けている「ビューティ・ケア山口」(山口市)の活動。そろいのエプロンを着た5人が、テーブルに鏡や化粧品をセット。座ったお年寄りの女性たちの顔を、ファンデーション、眉書き、口紅と手際よく仕上げた。
最初の化粧水の時に緊張していたお年寄りも、ほお紅をつける頃にはみんな笑顔に。植田チトセさん(85)は「きちんと化粧するのは久しぶり。気分も明るくなるね」と、鏡の中の自分に見入った。
ビューティーケアは1993年に活動を開始。化粧品販売業をしていた伊藤良子会長(74)が「何歳になってもきれいでいたいはずなのに、お年寄りは若い人のように気軽に化粧品店に寄れず、かわいそう」と思ったのがきっかけだった。
最初は販売目的と勘違いされ断られることもあったが、口コミで広がった。今は約10人が交代で月数回、山口市とその周辺の高齢者施設などを訪問している。お年寄りの家族がびっくりしないよう、控えめな色のナチュラルメークが基本。病院で実践してもらうため、男性職員に化粧の仕方を教えることもある。
抗がん剤治療で髪が抜けた女性にウイッグ(かつら)を貸し出す活動も継続中。2年前には、訪問化粧の拠点で、高齢者が気軽に集まって手芸や音楽を楽しむ「かがやきサロン」も開設した。伊藤さんは「女性にはいつまでも輝いていてほしい。化粧が積極性や自発性を持つきっかけになれば」と話す。(原篤司)
■化粧品業界 シニア向け商品や「教室」
化粧品業界もシニア世代を対象とした商品開発や取り組みに力を入れる。
資生堂は2009年から高齢者と化粧の関係を探る研究を始めた。昨年7月には高齢者美容サービスやセミナーを行う「ライフクオリティー事業」を立ち上げ、高齢者やリハビリ中の人などを対象にした化粧教室などを全国で開いている。同年3月には50代半ば以上の女性向けウェブサイトを設け、メークだけでなく髪や肌のケア方法や関連商品を紹介している。
ちふれ化粧品は昨年、老人ホームや高齢者向けイベントでの化粧教室を5年ぶりに再開。年齢とともに変わる顔に合わせたメークやスキンケア、マッサージ方法を伝えている。
健康関連事業会社サントリーウエルネスは07年から化粧品の研究開発を始め、50代以上を対象にした化粧品ブランド「エファージュ」を展開。小売業のイオンリテールは11年以降、ちふれ化粧品、コーセー、ポーラなどとシニア向け化粧品を共同開発し、イオンの店舗で販売している。
年を重ねたからこその美しさを引き出すメークはどうしたらいいのか。資生堂山口オフィス美容統括部の橋本奈美江さん(42)にポイントを教わった。
若い頃より赤みがなくなり、肌がくすんで暗く見えがちな顔を明るくするポイントは三つ。
一つ目は「影を消す」。下地やファンデーションでこめかみや目の下のくぼみ、頰の下の大きな影や毛穴の小さな影を消すとハリがあるように見える。二つ目は「色を明るく」。チークやハイライトを入れることで血色感や立体感を出せる。三つ目は「線をややくっきり」。眉や目元、口元などぼやけがちなラインをくっきりさせることで生き生きした感じが出るという。
高齢者を対象に化粧の指導をしたことがある橋本さんは「うつむいていた人の目が生き生きして笑顔になる。気持ちを明るくする効果もあるので、いくつになっても化粧をして欲しい」と話した。(寺尾佳恵)
≪追伸 記者より≫
参考になるかもと話を聴いた母方の祖母(81)は人に会うときは必ず、父方の祖母(80)は行き先が山や畑でも毎日化粧をするというから驚いた。それぞれ「身だしなみはきちんとしたい」「気持ちがしゃんとする」。今回教わったポイントを伝え、これからも元気に明るく過ごしてもらいたい。(寺尾) ・・・2014年05月17日 朝日新聞 ちゅうごくライフ 配信より
私のコメント: 今後、朝日新聞 寺尾佳恵記者により執筆された新聞記事を更に、注目していきたいものである。