大学倶楽部・学習院大 大雨被害の秋田・大仙でアルバム修復作業 公文書館職員の蓮沼さん中心に |
2017年8月9日
7月下旬に県内を襲った記録的な大雨で、秋田県大仙市では住宅の床上・床下浸水などが820棟以上に及んだ。同市では家財道具の片付けや復旧が進められているが、泥水につかったアルバムなどの修復作業も行われている。その中心が、同市立公文書館の職員、蓮沼素子さん(42)。大仙市の公文書館が今年5月に開設され、保存関係を担当する専門職員に採用された。現在は学習院大学大学院でアーカイブズ学を専攻しつつ、同館で破れた古文書などを和紙で繕う「文書のレスキュー隊」として働いている。「住民の思い出を守りたい」と懸命だ。
8月1日午後、同市立の公文書館「大仙市アーカイブズ」の一室は、泥が付いたままの写真やアルバムなどで埋め尽くされていた。扇風機で乾燥させている最中で、土の臭いが充満している。エタノールを吹きかけて消毒し、キッチンペーパーで文書の水分を吸い取る。地道で細かい作業だ。蓮沼さんは「水につかった資料が腐ってしまうと、どんなに貴重な内容でも捨てられるケースがある。時間との闘いです」。作業は2人で行い、1カ月ほど続く見込みだ。東日本大震災後、岩手県釜石市役所で津波被害を受けた段ボール箱約1000個分の行政文書などの補修に、ボランティアで携わった。しわしわになった紙をアイロンで伸ばしたり、劣化を防ぐために真空状態で凍結乾燥させたりするノウハウを学んだ。現在取り組んでいるのは、近くの「淀川保育園」(園児19人)で水をかぶった園児の成育歴や各年度の予算書、過去の卒園アルバムなど。段ボール箱約30個分が同館に運び込まれたが、かびが生えていたり、ページがくっついてめくれなくなったりしたものが多かった。だが蓮沼さんは「手をかければ復元できる」と力を込める。同園は来年3月末に閉園する。約40年間の園の歴史をまとめた記念誌の作成を計画していた折に、水害に遭った。同園の小笠原ひとみ園長は「水をかぶったアルバムなどは、自分たちではどうすることもできない。復元してもらってありがたいです」と謝意を示す。蓮沼さんは「災害が起こるたびに人命はもちろんですが、文書の被害が気になります。地域の歴史や住民の記録、思い出を次世代に残すお手伝いをするのが私の役目だと考えています」と話している。県は5日、農林水産関係の被害が同日正午時点で約81億円に上ると発表した。自治体別では大仙市が約27億2600万円と最も多く、秋田市約20億5200万円▽横手市約12億4200万円と続いた。【松本紫帆】 ・・・ 平成29年8月9日(水)、 毎日新聞 配信より
私のコメント : 平成29年8月9日、7月下旬に県内を襲った記録的な大雨で、秋田県大仙市では住宅の床上・床下浸水などが820棟以上に及んだ。大仙市では家財道具の片付けや復旧が進められているが、泥水につかったアルバムなどの修復作業も行われている。その中心が、大仙市立 公文書館 職員、蓮沼素子さん。蓮沼さんは「災害が起こるたびに人命はもちろんですが、文書の被害が気になります。地域の歴史や住民の記録、思い出を次世代に残すお手伝いをするのが私の役目だと考えています」と話している。 秋田県は平成29年8月5日、農林水産関係の被害が同日正午時点で約81億円に上ると発表した。自治体別では大仙市が約27億2600万円と最も多く、秋田市約20億5200万円▽横手市約12億4200万円と続いた。