米が10年足らずで液化化石燃料の純輸出国へ エネルギー安保激変 |
米国は天然ガスはほぼ自給、石油は半分弱を輸入しているが、米金融大手シティグループは最近、2020年以降はLNGなどの純輸出額が純輸入額を上回るとの試算を発表した。とりわけシェールガス開発の拡大でLNG採掘量が急増中で、米エネルギー省情報局も「20年に純輸出国に転じる」と予測。石油製品についてはすでに昨年純輸出国に転じたばかりだ。
米国では自動車など製造業の復活ぶりに注目が集まるが、それを支えるのが「エネルギー革命」とまで呼ばれる現象だ。ロイター通信は「生産コストの低下で米企業の競争力が増し、あらゆる産業で投資が活発化している」と指摘。ピーターソン国際経済研究所によると、シェールガス開発は10~15年にわたって米国内総生産(GDP)を年1%程度押し上げる。
オバマ政権も当初は「脱化石燃料」を掲げたが、太陽光発電企業の相次ぐ倒産など新エネルギー産業の開拓は迷走。そこに自国のシェールガス・ブームが到来し、11月の大統領選を見据え、「国産エネルギーの増強」に路線を軌道修正した。シェールガスや海洋油田の開発は石油の中東依存度(輸入量の約2割)を引き下げ、「オバマ政権のエネルギー安全保障の今や中核」(米電力業界関係者)という位置づけだ。
また、エネルギー安保の観点から米国はエネルギー輸出を制限してきたが、転換点にさしかかっている。
焦点は、自由貿易協定(FTA)加盟国に原則限られるLNG輸出を認めるかどうか。エネルギー業界は米政府に輸出拡大の許可を申請し続けているが、産業界には「ガス価格が上昇し米企業の体力を奪う」と反発が強く、与党民主党内にも同調する声がある。
それでも、原発の稼働停止や中東への原油依存リスクを減らしたい日本をはじめ、政治的・経済的つながりの深い米国へ輸出を働きかける国は少なくない。新たな「エネルギー輸出大国」の胎動の予感に、各国も米国の動向を注視している。 ・・・ 平成24年8月2日(木)、産経新聞 20時36分配信より
私のコメント : 強い、ドル相場、アメリカ国債の価格 等、再び、復活すると、今後、予想もされる。