<TPP>関税以外も問題山積 米国の強硬姿勢に不満も |
「想定以上に積み残された課題が多い。がっかりしたような、やや安堵(あんど)したような複雑な思いだ」。日本側のある交渉関係者はこう話した。「安堵」というのは、今回の閣僚会合が始まる直前まで、日本だけが他の11カ国から攻められて孤立するという懸念があったためだ。
これまでの交渉で日本はコメや牛・豚肉など重要5項目(586品目)の関税維持を強く求め、米国は関税全廃を要求してきた。「日本以外の交渉参加国すべてが100%かそれに近い自由化率を提示している」(交渉筋)といわれ、日本の形勢が悪いのは明らかだった。
しかし、今回の閣僚会合や事務レベル協議では、関税以外の課題も山積していることが改めて浮き彫りになった。知的財産権では、新薬の保護強化を求める米国に対し、早期に後発薬を開発したいマレーシアなどとの対立が解消されないなど、課題は幅広い。どんな物品が関税撤廃の対象となるかの基準を定める「原産地規則」の議論も集約にはほど遠い状態だ。
各国間で「日米交渉が進めばTPPも進む」との共通認識はあるものの、「日本だけを攻める状況ではない」(日米以外の交渉関係者)。厳しい交渉環境の一因が「米国の強硬姿勢にある」との見方は強い。
11月に中間選挙に入る米国は、製薬、農業、コンテンツ関連など国内の主要団体がTPP交渉に目を光らせ、安易な譲歩ができない。このため、日本との関税交渉だけでなく、他国との交渉でも大きな譲歩をしていないとされる。さらに、米議会が貿易協定に関する権限を大統領に一任する「貿易促進権限(TPA)」法案が成立するメドも立たないため、米国以外の参加国も最終的な譲歩案を出しづらいという事情もある。
今回の閣僚会合では、「準備も整っていないのに妥結などできるわけがない」という不満の声が複数の国の交渉関係者から上がった。しかし、「最後の最後に合意の道筋が見えてくる場合もある」として、各国はギリギリの交渉を続けている。 ・・・ 平成26年2月24日(月)、毎日新聞 22時7分配信より
私のコメント : 各国間で「日米交渉が進めばTPPも進む」との共通認識はあるものの、「日本だけを攻める状況ではない」(日米以外の交渉関係者)。米国の強硬姿が、株式市場 等に与える影響も、日米交渉の交渉時間が、長期化していくほどに、それが増大していくと私は、推察している。