<トヨタ>「持続成長」なおハードル 新興国減速リスクも |
「今期(15年3月期)は意志を持った踊り場。将来の成長に向けた種まきを進めたい」。豊田社長は8日の記者会見で、慎重な業績予想とともに、ハイブリッド車など技術革新への投資を積極的に進める考えを示した。
14年3月期、トヨタを営業最高益に押し上げたのは9000億円に上る円安効果だ。だが、今後も同じペースで円安が進むとは考えられず、15年3月期の想定為替レートは前期並みの1ドル=100円。逆に為替変動が950億円の営業減益要因になると見込んでいる。
自動車販売についても、消費増税後の反動減から立ち直るめどが立っていない。トヨタが部品メーカーに示した計画によると、1日平均の生産台数は1~3月の1万4000台から4~6月は1万2000台後半に落ち込む。7月には1万3000台前半への回復を見込んでいるが、部品メーカーの中には「(消費税増税による落ち込みで)通年では去年に届かない」(デンソーの加藤宣明社長)と慎重な声が出ている。
海外市場も不安材料だ。特に「リスク要因は新興国」(小平信因(のぶより)副社長)。生産・販売の重要拠点であるタイでは、自動車購入への減税終了後の反動減に加え、今月7日に首相が失職するなど政情不安が続く。15年3月期は、日本,オセアニア以外の世界各地域で販売台数の増加を見込んでいるが、新興国については「米国の金融緩和縮小による金融面の影響やインフレ、通貨下落などさまざまなリスクがある」(小平副社長)と、下振れ懸念を隠さない。
トヨタは「持続的成長には既存設備の生産性を高めることが先決」(豊田社長)として、13~15年度の工場新設を凍結している。ただ、独フォルクスワーゲン(VW)は14~18年に中国で182億ユーロ(約2兆5000億円)、米ゼネラル・モーターズ(GM)も14~17年に中国で120億ドル(約1兆2000億円)の投資を計画するなど、ライバル各社は新興国を中心に増産への布石を打っている。対抗上、トヨタが凍結を解除し、大型投資に踏み込む可能性もある。
一方、ものづくりの競争力向上と雇用維持のため、トヨタは「国内生産300万台」の方針を掲げている。今期の国内生産計画は320万台で、小平副社長も会見で「今後も300万台維持を考えている」と強調した。ただ、消費税増税後の反動減を踏まえ、国内販売の予想は、前期比6・6%減の221万台。輸出頼みの国内生産だけに、円高が進んでしまえばひとたまりもない。為替リスクを避けるための海外展開と、国内生産維持をどう両立させるかも問われることになる。【和田憲二、山口知】
【キーワード】為替差益
為替レートの変動で生じる利益。例えば100ドルで売った商品の日本円換算の売上高は、1ドル=80円だと8000円、1ドル=100円なら1万円。差額の2000円が円安による差益となる。トヨタ自動車の場合、1円円安になると対ドルで約400億円、対ユーロで約40億円の営業増益要因に。逆に円高は減益要因になる。海外での販売が多い輸出型企業は、円安が増益要因となることが多い。ただ、影響は会社ごとに異なり、ソニーは1円円安になると対ユーロでは約70億円の差益が出るが、対ドルでは約30億円の減益要因になる。同社は携帯電話などの部品の多くをドル建てで買っており、対ドルで円安が進めば、円換算の仕入れコストが増えるためだ。
・・・ 平成26年5月8日(木)、毎日新聞 21時26分配信より
私のコメント : 『 ものづくりの競争力向上と雇用維持のため、トヨタは「国内生産300万台」の方針を掲げている。今期の国内生産計画は320万台で、小平副社長も会見で「今後も300万台維持を考えている」と強調した。ただ、消費税増税後の反動減を踏まえ、国内販売の予想は、前期比6・6%減の221万台。国内販売の予想は、前期比6・6%減の221万台。輸出頼みの国内生産だけに、円高が進んでしまえばひとたまりもない。為替リスクを避けるための海外展開と、国内生産維持をどう両立させるかも問われることになる。 』 との記事内容、今後、更に、豊田章男社長の手腕も、問われてくる。皆様方の更なる、ご健闘を祈る。