農協改革に自民農林族が反旗「TPPより重要課題」 |
政府が検討する農業改革案に自民党農林族が21日、反発ののろしを上げた。批判の的は、全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協を統率する仕組みを廃止する「農協解体論」だ。ただ、安倍晋三首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結に備え、農業の競争力強化には農協改革が不可欠と訴えている。農林族は「今はTPPよりも重要課題だ」と農協改革の阻止に意気込むが、首相サイドとの敵対は容易ではない。
「見てくれだけの改革で政府は対応していないか。組織の改革には、緻密な議論とその後の影響も考えなければならない」
自民党の中谷元(げん)・農林水産戦略調査会長は21日、党農林部会などの合同会議で、政府の規制改革会議が策定した「農協解体論」を厳しく批判。他の出席者からも「米国が言い続けてきたことであり、郵政民営化と同じ手口だ」(尾辻秀久元厚生労働相)などと不満や怒りの声が噴出した。
規制改革会議が14日にまとめた提言では、JA全中が全国約700の地域農協を指導・監査する中央会制度を廃止し、地域農協が経営の自由度を高めるよう、農協法の改正を要求。農作物を販売する全国農業協同組合連合会(JA全農)には株式会社化を求めた。
特に中央会制度の改革は、地域農協から年間計約80億円の負担金を集める制度の廃止にもつながる。JA全中は「農協解体の流れをくんだ意見だ」(万歳章会長)と反発し、5月の大型連休以降、自民党農林族を回る頻度を高め、政府の改革案に待ったをかけるよう陳情を続けた。農林族にとっても、農協を農業政策の「重要なパートナー」と位置づけてきた上、「農協解体」は貴重な票田を失いかねない。
これに対し首相は、農業改革を6月にまとめる政府の成長戦略の中核に据える意向だ。
19日の産業競争力会議では、農協改革▽企業による農業生産法人への出資制限の緩和▽農地取引の許可権を持つ農業委員会の権限縮小-という「3点の改革をセットで断行する」と表明した。規制改革会議の提言は首相の意向を踏まえたものといえる。
農林族は「政策は全て農林部会の席で決める」(中谷氏)として来週にも見解をまとめ、首相サイドに圧力をかける構えだ。首相周辺は「農家の減少で農林票もかつてほどの影響力はない。農協には、民主党政権時に自民党を手放したツケを払わせる」と強気の姿勢を崩していない。(水内茂幸、力武崇樹)
・・・ 平成26年5月22日(木)、産経新聞 7時55分配信より
私のコメント : 新聞記事の以下の内容は、国民として、日本の景気、経済、外国為替、日本の株価とも連動している内容なので、気になる。
◎ 安倍晋三首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結に備え、農業の競争力強化には農協改革が不可欠と訴えている。
◎ 農林族は「今はTPPよりも重要課題だ」と農協改革の阻止に意気込むが、首相サイドとの敵対は容易ではない。
◎ 自民党の中谷元(げん)・農林水産戦略調査会長は21日、党農林部会などの合同会議で、政府の規制改革会議が策定した「農協解体論」を厳しく批判。他の出席者からも「米国が言い続けてきたことであり、郵政民営化と同じ手口だ」(尾辻秀久元厚生労働相)などと不満や怒りの声が噴出した。
◎ 首相周辺は「農家の減少で農林票もかつてほどの影響力はない。農協には、民主党政権時に自民党を手放したツケを払わせる」と強気の姿勢を崩していない。