- 福澤先生の歴史的方法・断章 - 恩師の論文より |
以前私は(1969年11月号)に、「然るに統計の実験に於いては」という小文を書いたことがある。副題は「福澤先生の統計的方法・断章」というものであった。タイトル、およびサブ・タイトルから容易に推察がつくように、本稿はいわばその姉妹編に当たる。ここでは福澤先生の経験的、実証的態度について統計的方法とはやや別角度から検討を加えてみたい。別角度とは、一口でいえばかれの歴史的方法とでもいうべきものであり、歴史的知識、経験をたんに類推的に活用するという以上に、一歩進んでこれを理論化し、時事的な問題解決に適用していくという、福澤流の強靱(タフ)な思考方法のことである。
表題の一句は明治11年「通貨論」からの抜粋であるが、周知のように この年、西南戦争の(戦争の)軍事支出、国立銀行条例の改正によって(不換)紙幣が濫発され、通貨残高は一つの極点に達していた。したがって紙幣発行を非とする議論がやかましかったが、福澤先生は、「 ・・・・省略・・・・ 」 明治15年『通貨論』に至ると180度の回転を遂げ、不換紙幣の整理、あるいは兌換準備金の必要を論ずるようになった。 「・・・・ 以下、省略・・・・ 」


































