過疎の町に書店 廃校舎活用し 新宮市熊野川町 |
書店がオープンしたのは奈良県十津川村や三重県熊野市紀和町に隣接する熊野川町九重の旧九重小学校。1962年建築の木造平屋校舎で、児童数の減少に伴い91年に休校、2005年に廃校となり、その後11年9月にあった紀伊半島大水害の被害を受け、撤去寸前にまでなっていた。
この撤去に待ったをかけたのが熊野川町などへの移住を支援するNPO「山の学校」(柴田哲弥代表)。「800万円かけて取り壊すのであれば、地域の活性化のために活用したい」と12年春、市に申し入れた。市はそれを受け入れ、無償で貸し出すことにした。
そこで計画されたのが書店を併設したカフェ。「自然豊かな環境の中、ゆったりと本を読み、コーヒーを飲んでくつろげる場があれば」と浸水被害を受けた廃校舎をボランティアにも手伝ってもらい、約6カ月かけて改修した。元の職員室と教室1室を使った落ち着いた空間で、本棚や戸棚も市内のほかの廃校舎から運び込み再利用した。
昨年11月にカフェ部門だけを「bookcafe kuju(ブックカフェ・クジュウ)」の名で先行してオープン。5月下旬に書店部門も開いた。
切り盛りするのは茨城県ひたちなか市出身で、昨年6月に川崎市から熊野川町へ移住してきた矢部明日美さん(30)。総務省の交付金事業「地域おこし協力隊」のメンバーとして活動している。「地域住民が憩い、そして地域外から訪れた人との交流の場になればと思う」と話す。
本は、柴田代表が知人を通じて知り合った京都市の書店「ガケ書房」の協力を得て選び、仕入れている。約千冊あり、ジャンルは絵本や図鑑、小説、料理本などさまざま。「大手書店にたくさん並ぶ話題の本などは控えている」というが、今後は新宮市街地にある書店に行けない人のために雑誌やコミックスも取り扱いたいという。取り寄せも受け付けている。
イベントも企画。オープン記念として15日午後2時から、講堂で作家を招いたイベント「いしいしんじのおんがくとぶんがく」を開く。入場は、熊野川町民と高校生以下は無料だが、それ以外は土産品付きで1500円。
熊野川町の人口は1466人(5月末現在)で、合併時の05年から3割近く減った。久重地区を含む北山川沿いにある九重地域全体の人口は168人で、減少率は3割を超える。紀伊半島大水害も人口減に拍車をかけ、過疎化は深刻だ。
九重地区の木戸上孝巳区長(75)は「近くで本が手に入るだけでなく、地区外から大勢の人が訪れてくれれば地域は活気づく」と期待する。
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カフェでは飲み物以外にケーキやカレーもある。別室ではパン店「パンむぎとし」もオープンしている。営業はカフェが土日曜と祝日の午前11時~午後6時、パン店は土日曜の正午~午後6時(売り切れ次第)。問い合わせはいずれも電話(0735・30・4862)へ。
・・・ 平成26年6月9日(月)、紀伊民報 16時51分配信より

































