<衆院選>主要8政党公約出そろう 独自成長戦略など掲げ |
自民党は、アベノミクスの継続を前面に押し出した。アベノミクスは(1)円安誘導で輸出企業の国際競争力を高める大胆な金融緩和(2)景気刺激のための財政出動(3)規制改革を核とした成長戦略--の三本の矢で、デフレからの脱却と経済成長を図る。過去2年間で、約100万人の雇用を創出し、賃上げ率は過去15年間で最高の2・07%を記録したほか、企業の倒産件数も24年ぶりの低水準にあると成果を強調。そのうえで「日本再生のためには、この道しかない」と訴えた。
27日に公約を発表した公明党もデフレからの脱却や経済再生を目指す考えを示し、自民党と足並みをそろえたが、アベノミクスという言葉は公約で使わなかった。代わりに、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の導入に最重点を置いている。
野党側では、民主党は急激な円安や物価高を招き、「国民生活が疲弊した」とアベノミクスを批判。「今こそ、流れを変える時」と訴え、アベノミクスからの転換を呼び掛けた。大企業の好業績が、やがて中低所得者や地方にも広がるとのアベノミクスの発想を真っ向から否定し、雇用の安定や中小企業支援の拡充を通じ、「厚く、豊かな中間層」を復活させることを掲げた。
維新の党は、「第三の矢(成長戦略)がかけ声だけに終わっている」などとして、アベノミクスの方向性には賛同しつつ、業界団体との結びつきの強い自民党の改革姿勢を批判。国会議員の歳費や定数の削減、行政改革などの徹底で「実のある改革」を断行するとしている。共産、生活の両党は再生可能エネルギーへの転換などで地域経済の成長を促せるとしている。
首相が消費税率10%への引き上げを来年10月から1年半延期したことは各党とも容認しているが、民主は「アベノミクスによる国民生活の悪化」で引き上げができなくなったと批判。維新は首相が「引き上げ再延期はしない」と明言していることに反対し、景気状況により引き上げを判断すべきだとの立場だ。生活は「凍結」、共産は「中止」、社民は「5%に引き下げ」を求めている。
自民党が企業の成長を促すためとして目指している法人税減税には、民主、次世代も基本的に賛成。公明の公約に記載はなかった。
原発を巡っては、自民が「重要なベースロード電源」と位置づけ、再稼働への意欲を示したのに対し、公明は「原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」と与党内で温度差が露呈。
民主は与党時代に掲げた「2030年代原発ゼロ」を継承しつつも再稼働自体は容認。維新は「『核のゴミ』の最終処分の解決なくして原発再稼働なし」と実質的に再稼働反対の姿勢を示した。
JA全中の権限の縮小が争点となっている農協改革では、自民は「議論を深め着実に推進」と改革志向を示した。公明は「農協がこれまで果たしてきた役割や現場の実態に即した自己改革を踏まえ、検討を進める」と記載するにとどめた。維新は「地域農協における金融部門の分離、JA全中の抜本改革」などと自民以上に急進的な改革を掲げた。【宮島寛】
・・・ 平成26年11月27日(木)、毎日新聞 21時31分配信より
私のコメント: 各県のご活躍を祈る。 JA全中の権限が争点となっている農協改革の問題は、各地域の農業の生産分析、農協からの対応も注目される。