ギリシャ:病巣、取れていない 戸田・前大使に聞く |
財政改革の実行を条件に、欧州連合(EU)などからの金融支援にこぎ着けたギリシャ。だが、経済再生の道のりは依然として険しい。根本的な解決には何が必要か。前ギリシャ大使の戸田博史UBS証券特別顧問に今後の課題などを聞いた。【聞き手・鈴木一也】
−−ギリシャのチプラス首相の一連の行動をどう評価しますか?
◆ユーロ圏から離脱する選択肢は最初から彼の頭になかったと思う。ユーロ圏にいれば他国からの支援や補助金が期待できるからだ。EUなどが示した財政改革案の是非を問う国民投票も、ギリシャ人のプライドの問題にすり替えて国民の支持を得た。若さから改革を断行すると期待されたが、今回の金融支援は(当面の危機を乗り切るための)時間稼ぎに過ぎない。
−−財政破綻の懸念は残ったままです。
◆経済成長の絵が描けなければ、不良債権を背負ったギリシャ国内の銀行が破綻し、国の財政も立ち行かなくなる。今後、(国の)債務の金利減免や返済時期の延期などが何とか実現するだろうが、債務元本の削減までは難しい。ギリシャはもはや先進国とは言えず、こうした国を抱えたEUとユーロが今後どう存続していくかも議論されるだろう。
−−ギリシャではユーロ圏から離脱すべきだとの意見もあります。
◆旧通貨のドラクマに戻れば、信用がないため通貨暴落など塗炭の苦しみが待っている。輸入価格が急騰し、輸入に頼っている食料などが店頭から消えるためだ。これまでEUなどの支援にギリシャが甘えてきた面があり、それぐらいのショックがあっていい。身の丈以上の生活水準を切り下げ、国も、国民も無駄なお金の使い方を根底から見直すべきだ。
−−ギリシャ問題が世界経済やマーケットに与える影響は?
◆ギリシャの経済規模は小さく、EUなどが支援する以上は大きな悪影響を与える恐れは少ない。ただ、ギリシャの病巣は全く切り取れていないので、今後もマーケットが過敏に反応する可能性は残っている。
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■人物略歴
◇とだ・ひろし
慶応大経済学部卒。1975年野村証券入社。副社長兼業務執行責任者(COO)や副会長を経て、2010〜13年に駐ギリシャ大使。14年から現職。63歳。 ・・・ 平成27年8月6日、 毎日新聞 東京朝刊より
私のコメント: 前ギリシャ大使の戸田博史UBS証券特別顧問から、「ギリシャの経済規模は小さく、EUなどが支援する以上は大きな悪影響を与える恐れは少ない」との見解であるが、日本は、ドイツ、イタリア 等における欧州における、経済的、結びつきも、現在、それが、続いている面もあり、ギリシャについては、慎重に、歴史的な検証もする必要性があると感じる。欧州は、そのギリシャ語の世界もある。