温暖化 41都道府県「被害」 コメや果樹品質低下 |
全国の都道府県の8割以上で、過去10年にコメや果樹に地球温暖化の影響と見られる品質低下などの被害が確認されていることが、毎日新聞のアンケートで分かった。一方、被害軽減策の「適応計画」を策定済みか、策定予定の自治体は約半数しかなく、対策が遅れている実態が明らかになった。
調査は11月、全国47都道府県を対象に書面で実施。農業への温暖化の影響を尋ねたところ、過去10年にコメの品質などに影響があったと回答したのは41道府県に上った。特に記録的な猛暑だった2010年に、各地で粒の中が白く濁る「白未熟粒」などによるコメの品質低下が深刻化し、1等米比率が大きく低下したことを挙げた自治体が多かった。果樹への影響も39都道府県に上り、病害虫の発生や、リンゴの色づきの悪さなどが起きていた。
さらに「温暖化によるコメの品質低下は『懸念』ではない。既に影響は表れている」(高知)▽「09年以降、1等米比率低下、規格外の増加といった影響が著しい」(兵庫)など、深刻さを訴える声もあった。
適応計画については、5県が策定済み、18都府県が策定を予定と回答したが、「必要性も含めて検討中」が23道府県、「予定はない」も1県あった。
検討中である理由について「専門知識を持つ職員が少ない」(岩手)▽「予算的に厳しい」(三重)▽「参考にできる事例が少ない」(京都)などの回答があった。また「国が予算的な裏付けを示すこと」など国の支援を求める回答も多かった。
国レベルの適応計画は11月にまとまり、暑さに強い作物の開発や大雨災害対策など7分野の対策が盛り込まれた。だが、それぞれの対策に法的義務はなく、自治体の計画を後押しするために必要な予算額や具体的な目標達成時期は盛り込まれていない。【渡辺諒、大場あい】
農家から不安の声 極端な天候、対応に限界
「高温傾向でリンゴに蜜が入りやすくなるのはいいが、果実が柔らかくなり、店頭で日持ちしにくい。高温や豪雨、少雨など、毎年過去に経験のない『異常気象』に襲われているようだ」。親の代から山形県内でリンゴを栽培する農業の男性(67)は地球温暖化への懸念をあらわにする。
リンゴやブドウの着色不良、ウンシュウミカンの皮と果肉の間に隙間(すきま)ができる「浮き皮」など高温による品質低下が、全国的に発生している。
男性によると、最近登録された品種の被害は比較的少ないが、主力のリンゴ「ふじ」(1962年品種登録)のように、温暖化が深刻化する前に誕生した品種への影響は大きいという。リンゴ生産量日本一の青森県などでも、高温でも色づきが良くなるような暑さ対策を進めているが、極端な気象への対応には限界がある。
気象庁などのデータによると、日本の年平均気温は1900年からの100年間で約1度上昇した。全国51地点の平均で、1日当たりの降水量200ミリ以上の大雨の日数は100年間で約4割増加。同100ミリ以上も3割弱増えた。一方で少雨の日数は減少傾向にあり、専門家は「温暖化の影響で、大雨が増えて少雨が減るという極端な天候になりやすい」と指摘する。
農業環境技術研究所の桑形恒男上席研究員は「コメに関しては10年ほど前から品質低下の被害が顕在化し始め、国や自治体が協力して取り組んでいる。ただし、品種改良には時間がかかり、継続的な取り組みが重要。コメや果樹の品質低下は地域農業への影響が大きく、早急な対策の導入が必要だ」と指摘する。【大場あい、渡辺諒】
【ことば】適応計画
地球温暖化による農作物や健康面などへの被害を減らすための対策をまとめた計画。気温上昇を抑える温室効果ガスの排出削減と並ぶ温暖化対策の柱。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で今月採択された2020年以降の温暖化対策の新しい国際枠組み「パリ協定」では、世界全体で被害軽減に取り組むことが決まった。 ・・・ 毎日新聞2015年12月30日 10時00分(最終更新 12月30日 10時00分)より
私のコメント: 全国の都道府県の8割以上で、過去10年にコメや果樹に地球温暖化の影響と見られる品質低下などの被害が確認されていることが、毎日新聞のアンケートで分かった。くにもとより、祭政一致を願う。日本国内においては、何が、その原因なのかも、大局的な立場で、その関係者と関係機関においては、今後、更に、その解明努力し、その内容には、注意を払っていかなければいけない。