南シナ海 「九段線」中国の権益認めず 仲裁裁判所 |
南シナ海のほぼ全域に主権や権益が及ぶとした中国の主張に対し、フィリピンが国連海洋法条約違反などを確認するよう申し立てた仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が主張の根拠としてきた「九段線」について、フィリピンの主張を認め「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」とする判決を下した。南シナ海の人工島で実効支配を進める動きについて、国際法上「ノー」が突きつけられた中国の「全面敗訴」に近い形で、中国政府は猛反発した。
南シナ海での中国の主張を巡り国際法に基づく判断が出されたのは初めて。
中国は従来、九段線の内側の海域で管轄権を有するとし、これは、国連海洋法条約発効(1994年)以前からの「歴史的権利」と主張してきた。これに対し、南シナ海の岩礁について領有権を争ってきたフィリピンが2013年、中国の主張は「同条約に反しており無効」として仲裁裁判を申し立てていた。
判決では、中国の主張する九段線の「歴史的権利」について「南シナ海で中国が独占的な管理をしてきた証拠はない」と断じ、中国の主張を退けた。
中国は九段線の主張を背景に、南沙(英語名スプラトリー)諸島の七つの岩礁で人工島造成を行い、滑走路などを建設し軍事拠点化を進めていると批判されてきた。判決により、造成を継続することに対しては「国連海洋法条約違反」として、国際社会の批判が強まる可能性が大きい。
判決ではさらに、七つの岩礁について、いずれも排他的経済水域(EEZ)が設定できる「島」ではなく「岩」か「低潮高地」と認定した。これにより、周辺海域での資源開発への主権的権利も中国は主張できなくなった。
判決はまた、七つの岩礁での埋め立てと人工島造成が、サンゴ礁の環境に深刻な損害を与え、国連海洋法条約の定める環境保護義務に違反していると認定した。
仲裁判決には上訴が認められず、法的拘束力があるが、判決を強制執行する手段がない。このため現状では中国の動きを実力で阻止できないが、判決の無視は国際的な批判にさらされることになり、中国の出方に注目が集まる。また、判決を後ろ盾にフィリピンなどが海域で中国に対し強硬姿勢で臨めば、偶発的な衝突につながりかねず、これまで以上に緊張が高まる恐れもある。
同裁判所は昨年10月、フィリピンが訴えた15項目のうち7項目について裁判所の管轄権を認めたが、九段線の有効性の判断については明確にしていなかった。【服部正法】
判決受け入れず…中国外務省
【北京・石原聖】中国外務省は「仲裁法廷が出したいわゆる判決は無効で、拘束力はなく、中国は受け入れず、認めない」との声明を発表した。声明は「中国の南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況下でも判決の影響を受けない。判決に基づく主張と行動にも反対し、受け入れない。領土問題と海洋の境界画定紛争で、紛争解決方法を強制することは受け入れない」と強く反発した。
画期的な判断…フィリピン外相
【バンコク岩佐淳士】フィリピンのヤサイ外相は判決を受け記者会見し「南シナ海を巡る争いの解決に向けた画期的な判断だ」と歓迎した。一方で「関係者に自制と落ち着きを求める」と述べ、中国などに対立をあおるような行動に出ないよう求めた。6月に発足したドゥテルテ政権は対中姿勢を軟化させ、中国との対話に意欲的だ。フィリピンに優位な判決を利用して経済協力を引き出しつつ、関係改善を模索する狙いとみられる。
解説 「判決無視」難しく
仲裁裁判所の判決のポイントは中国が主張する「九段線」について「法的根拠はない」と明確に退けたことだ。 判決は、中国が主張する九段線内の「歴史的権利」について、歴史的に中国の航海者や漁民が南シナ海の島々を利用してきたことを認めたうえで、これは中国側が他国の航海者らと同様に、公海上の自由を享受してきたことによるとして、中国の独占的な権利を認めなかった。 また、中国が人工島造成を進める七つの岩礁について「島」でないと判断したことで、岩礁を基点にした排他的経済水域(EEZ)の設定ができなくなり、中国は資源開発の主権的権利を主張することができなくなった。中国による岩礁の軍事拠点化の法的な根拠も大きく揺らいだ。 加えて、人工島造成による環境破壊も明確に認定した。今後も中国が造成を続ければ、国際法違反状態の放置というだけでなく、意図的な違反行為の継続となり、国際社会の厳しい批判にさらされるのは間違いない。判決には従わないと中国は表明したが、国連安保理常任理事国である大国が違法状態を継続すべきではない。【服部正法】 ・・・ 2016年7月12日、毎日新聞18時29分(最終更新 7月12日 22時03分) 配信より
私のコメント: 産学官民一体。



















































