岸田外相と石破地方創生相、「ポスト安倍」候補2人、閣内に残るのか、閣外に去るのか-その処遇は? |
来月3日の内閣改造・自民党役員人事をめぐり、岸田文雄外相と石破茂地方創生担当相の処遇が注目されている。2人はともに派閥の領袖で、「ポスト安倍」の有力候補として周囲の期待も大きい。果たして閣内に残るのか、閣外に去るのか-。
■岸田氏
岸田氏は平成24年12月の第2次安倍晋三政権から3年7カ月にわたり首相の「地球儀を俯(ふ)瞰(かん)する外交」を支えてきた。
今年5月にはオバマ米大統領の被爆地・広島への訪問を実現させ、昨年末には慰安婦問題をめぐる日韓合意を取り付けるなど実績を残してきた。外務省幹部も「この10年、20年で岸田氏以上に実績を残した外相はいない」と断言する。
一方、首相の積極的な首脳外交を前に、埋没気味との指摘もある。そもそも岸田氏が会長を務める岸田派(宏池会)はハト派路線で、首相の路線とは必ずしも一致しているとはいえず、自民党内には「首相の『対外スピーカー』のようで、独自色が薄れている」(中堅)と揶(や)揄(ゆ)する声もある。
それだけに、派内からは「ポスト安倍」をにらみ、閣僚を離れて党内基盤を固めるよう促す声が強まっている。将来、ポスト安倍に名乗りを上げるのであれば、岸田派を含めた党内の求心力の拡大が欠かせないからだ。岸田氏に近い中堅議員も「次の人事では外相を離れ、少なくとも党三役に就いてもらわなければ困る」と指摘する。
実際、岸田氏は幹事長や政調会長など党三役の経験がなく、派内には谷垣禎一幹事長の後任として幹事長ポストへの期待が膨らんでいる。ただ、調整力が問われる幹事長として党内をまとめられるか、政治手腕は未知数だ。
一方で、「決して踏み外さない」(官邸筋)と評価される岸田氏に対し、首相が外相留任を要請する可能性もある。岸田氏が外相を続ければ、8月下旬には首相の父で歴代3位の安倍晋太郎元外相の1334日に並ぶ。
内閣改造・党役員人事に関する話題が連日飛び交う中、岸田氏は21日の岸田派会合で、苦笑まじりに周囲にこう漏らした。
「(改造の)8月3日まではいろいろと言われて気分がいいけどさ、3日に現実を突きつけられるんだ」(石鍋圭)
■石破氏
「任ある限り全力を尽くすということ以外に、申し上げることは全くない」。石破氏は26日の記者会見で、自身の去就について問われたが、「お約束」の答えを繰り返すばかりだった。
幹事長などを歴任した石破氏は昨年9月、自身が会長の石破派(水月会)を旗揚げし、派閥を足がかりに「ポスト安倍」をうかがう姿勢を鮮明にした。だが、翌10月の内閣改造では安倍晋三首相の留任要請を受け入れ、派内には失望感が漂った。それでも「安倍政権を全面的に支える」などの「優等生然とした発言」(石破派若手)が際立つ。
「現職閣僚が若手の地元を訪れると、やはり受けがいい」(石破派議員秘書)との声が漏れ、閣内にとどまることで求心力を維持できるとの見方もある。とはいえ、安倍政権の金看板の「地方創生」は、政策分野が重複する「1億総活躍社会」の陰に隠れがちだ。
石破氏は「国に頼むのではない『地方発の地方創生』の意識がだいぶ醸成されてきた」と成果を強調するが、目立った実績は見えていないのが実情だ。
加藤勝信1億総活躍担当相が首相に近い存在ということも石破氏の埋没感に拍車をかけており、石破派内には次期総裁選をにらみ、「閣外に出るべきだ」との声が根強い。あるベテランは「昨年の改造の際に入閣を固辞していれば、派閥の人数はもっと膨れあがっていたはずだ」と嘆く。今回の改造で留任要請があれば、どうするのか。煮え切らない態度を続ければ、派内外から冷ややかな視線を浴びるのは避けられない。
その石破氏は26日の記者会見で「(石破派は)100年先の日本をどうするかということで作った同志とのグループだ。同志の意見を真摯(しんし)に承るのは一般論として当然のことだ」と踏み込み、派内への配慮をにじませた。
そして「正念場の夏」を迎える自身に言い聞かせるように、こう続けた。
「こういう季節になるといろんな記事を拝見するが、そういうことにわずらわされることなく、私心を滅して考えていかねばならん」(松本学) ・・・ 平成28年7月28日(木)、産経新聞 配信より
私のコメント: 山口・島根・鳥取・広島県 皆様からのご活躍も祈る。プラザ合意。