「全然終わりが見えない」手作業で泥かき出し 九州豪雨1週間 |
7/12(水) 14:05配信
大きな被害を出した九州豪雨は12日、発生から1週間を迎えた。福岡、大分両県の死者は25人、不明者はいまだ22人に上り、懸命の捜索が続いている。1319人に上る両県の避難者も、避難所での蒸し暑さの中でプライバシーのない生活が続き、疲労感をにじませる。一方、大分県では寸断されていた道が開通し、同県日田市大鶴、小野両地区の孤立状態が解消。地域によっては土砂の片付けをしたり罹災(りさい)証明の申請をしたりと、復興や生活再建に向けた動きも始まっている。同日午前には、安倍晋三首相が日田市を視察した。
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【朝倉市】1700人態勢で捜索続行
20人の安否不明者がいる福岡県朝倉市では12日午前、6カ所で自衛隊、警察、消防など計1759人態勢で捜索が再開された。同市杷木林田を流れる赤谷川周辺では午前8時すぎから、自衛隊と警察約50人が重機やスコップを使って土砂をかき出す作業を始めた。周囲には捜索隊の無数の足跡がぬかるんだ地面に道を作った。同市の犠牲者が約50キロ離れた有明海で発見されたケースもあり、捜索に携わる消防隊員の一人は「捜索場所が多岐にわたり、正直難航している。絶対見つかると信じて続けるしかない」と表情を引き締めた。朝倉市で最多の202人の避難住民が身を寄せる杷木久喜宮のサンライズ杷木。体育館の床にはマットが敷かれ、仕切り板やカーテンのない環境で、住民も疲れた様子。同市杷木志波の坂本輝男さん(73)は、土砂災害の恐れから避難した小学校が閉鎖され、サンライズ杷木に移った。「1週間過ぎても落ち着かないし、先のことを考えると心配だ」と涙を浮かべて話した。
【東峰村】断水続く中で後片付け
福岡県東峰村では流木や土砂があちこちで手つかずの状態で残されたままだ。住民は朝から自宅の片付けに追われていた。その合間に役場へ罹災証明の申請にくる住民の姿もあった。村を流れる大肥川近くに住む同村福井の岩下輝香さん(77)は、川沿いの畑や倉庫にたまった泥を手作業でかき出していた。「この1週間、毎日片付けたけど全然終わりが見えない」とため息をつく。自宅も床下まで浸水。夫の元二さん(78)は「早く行政に片付けてほしいけど、もっと被害が大きな地区もあるので強く言えない」と複雑な表情を浮かべた。村内は電気は復旧しているが、一部で断水が続き、陸上自衛隊による給水車も出動している。水をもらいに来た安岡剛さん(66)は「朝夕、水くみに来るのが大変。これが日課になった」という。ただ、自宅の水道は水が濁っているものの11日に復旧。安岡さんは「日常に戻れるのはまだ先だろうが、少しずつだが前進しているので復興を信じて前を向くしかない」と歯を食いしばった。
【日田市】孤立地区ようやく解消
大分県日田市では12日午前10時、大鶴、小野地区の孤立集落につながる道路の通行止めが解除され、約110人の孤立が1週間ぶりに解消した。「怖かった。昼間は友達と一緒にいました」。大鶴地区の集落で孤立していた奥森明子さん(79)は胸をなで下ろす。自宅周辺に目立った被害は見当たらないが、道路は泥水のせいか茶色に変色している。「食事はあったけど買い物に行けなかったから。冷やし中華かうどんを作って食べたい。美容院で髪も切りたいね」と声を弾ませた。梶原徳雄さん(67)は「とにかくお風呂に入りたい」。孤立集落が解消され、復興に弾みが付くが、小野地区につながる別ルートの道路は寸断されている。県が対策工事を急ピッチで進めており、19日に開通する見通しだ。自営業伊藤元裕さん(65)は「想像を絶する過酷な現実が待っているだろうけど…。現実を見て、思い切り泣くしかない」と言い聞かせた。一方、同市上城内町の災害ボランティアセンターには、浸水した家屋の復旧を支援しようと全国からのボランティアが12日までに600人を超えたという。 =2017/07/12付 西日本新聞夕刊 配信より = 西日本新聞社
私のコメント : 平成29年7月12日(水)、大きな被害を出した九州豪雨は12日、発生から1週間を迎えた。福岡、大分両県の不明者はいまだ22人に上り、懸命の捜索が続いている。1319人に上る両県の避難者も、避難所での蒸し暑さの中でプライバシーのない生活が続き、疲労感をにじませる。福岡、大分両県の不明者はいまだ22人に上り、地方自治体の関係の諸機関による、その救出活動も、世界から、注目されている。