全国火山概況(2月)10の火山に「火口周辺警報」 |
3月8日 19時34分気象
気象庁は8日、全国の活火山のことし2月以降の活動状況や警戒すべき点について発表しました。噴火が発生したり火山活動が高まったりして、全国の10の火山に「火口周辺警報」が、2つの海底火山に「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。
火口周辺警報
今後の噴火によって火口周辺や居住地域の近くに影響がおよぶおそれがある「火口周辺警報」が発表されているのは以下の10の火山です。
・「草津白根山」(群馬)
・「浅間山」(群馬・長野)
・「霧島連山の新燃岳」(宮崎・鹿児島)
・「霧島連山の御鉢」(宮崎・鹿児島)
・「霧島連山のえびの高原の硫黄山周辺」(宮崎・鹿児島)
・「桜島」(鹿児島)
・「口永良部島」(鹿児島)
・「諏訪之瀬島」(鹿児島)
・「西之島」(東京・小笠原諸島)
・「硫黄島」(東京・小笠原諸島)
噴火警戒レベル3
居住地域の近くまで影響が出るおそれがあり、入山規制が必要な「噴火警戒レベル3」は、「新燃岳」と「草津白根山」、「桜島」、それに「口永良部島」の4つの火山に発表されています。
【新燃岳】
新燃岳では、今月1日から噴火が続いていて、爆発的な噴火が相次ぎ、大きな噴石を火口の外まで飛ばす噴火も起きるなど、活発な噴火活動が続いています。一連の噴火では、大きな噴石が火口から最大700メートルまで飛んだほか、噴煙は最大で3000メートルに達しました。気象庁は、活発な噴火活動が続いているとして、「入山規制」を示す噴火警戒レベル「3」を継続し、火口からおおむね3キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に、おおむね2キロの範囲では火砕流にそれぞれ警戒するよう呼びかけています。また、火山灰や小さな噴石、火山ガス、それに爆発的な噴火に伴う空振に注意するとともに、火山灰が降り積もった地域では大雨の際の土石流にも注意するよう呼びかけています。
【草津白根山】
草津白根山では1月23日に本白根山の鏡池付近で噴火が発生しました。噴火当日には火山性地震が600回以上観測され、その後は減少していますが、火山性地震の回数は噴火前よりやや多く、火山活動が高まった状態が続いています。2月14日に行った上空からの観測では鏡池付近に顕著な地熱域は見つからず、各火口では噴気が確認されませんでしたが、1月31日以降、気温が低く、風が弱い時に鏡池北火口北側の火口列付近でごく弱い噴気がときどき観測されています。気象庁は鏡池付近からおおむね2キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
【桜島】
桜島では噴火活動が続き、2月は「南岳山頂火口」で噴火が7回発生し、このうち3回は「空振」と呼ばれる空気の振動や地震を伴う爆発的な噴火でした。「昭和火口」では、噴火は観測されていません。気象庁が2月に行った現地調査では、火山ガスの放出量は、1日当たり600トンから700トンとやや少ない状態でした。また、鹿児島湾奥部の「姶良カルデラ」の地下にある「マグマだまり」にマグマの供給が続いていることを示す地殻変動が観測されていて、気象庁は今後も噴火活動が継続すると考えられるとして、昭和火口と南岳山頂火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒を呼びかけています。
【口永良部島】
口永良部島では、新岳火口付近のごく浅いところを震源とする火山性地震が、2月は合わせて293回と、平成29年11月以降、地震はおおむね多い状態が続いています。また、火山ガスの二酸化硫黄の放出量は、4年前の平成26年8月の噴火の前より、おおむねやや多い状態が続いています。気象庁は、3年前の平成27年5月に発生した爆発的噴火と同じ程度の噴火が起きる可能性は低くなっているものの、引き続き噴火の可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石や火砕流に向江浜地区などでは火砕流に警戒するよう呼びかけています。
噴火警戒レベル2
火口の周辺への立ち入りなどが規制される「噴火警戒レベル2」は、霧島連山の「えびの高原の硫黄山」と「御鉢」、「浅間山」、「諏訪之瀬島」の4つの火山に発表されています。
【霧島連山の「えびの高原の硫黄山周辺」】
霧島連山の「えびの高原の硫黄山」では、2月15日から地下の熱水や火山ガスが関係していると考えられる低周波地震が時々発生し、19日からは火山性地震が増加しました。また、地盤の伸びを示す地殻変動のデータも引き続き観測され、地下深いところでマグマが蓄積していると考えられるということです。さらに噴気活動の活発化など火山活動が高まっていることから気象庁は20日、今後、小規模な噴火が発生するおそれがあるとして、火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2に引き上げ、硫黄山からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
【霧島連山の「御鉢」】
霧島連山の「御鉢」では2月9日に火山性地震が82回、14日に84回発生するなど、9日から16日にかけて火山性地震が一時的に増加しました。9日には、地下の熱水や火山ガスの動きを示すと考えられる火山性微動も発生したことから、気象庁は、今後、小規模な噴火が発生するおそれがあるとして、噴火警戒レベル2の火口周辺警報を発表し、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
【浅間山】
平成27年6月にごく小規模な噴火が発生した浅間山では、山頂火口直下のごく浅いところを震源とする火山性地震が2794回発生し、前の月の2倍に増加しました。また、地下の熱水や火山ガスの動きを示すと考えられる火山性微動が、時々観測されたほか、火山ガスの放出量は、1日当たり300トンから500トンとやや多い状態が続いています。一方、地下のやや深いところにあるマグマだまりにマグマが供給されていることを示すと考えられる地殻変動は停滞しています。気象庁は今後も小規模な噴火が発生する可能性があるとして、引き続き山頂火口からおおむね2キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。
【諏訪之瀬島】
諏訪之瀬島の御岳火口では、噴火が時々発生しました。今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されることから、気象庁は、火口からおおむね1キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。
火口周辺警報
噴火警戒レベルが導入されていないものの「火口周辺警報」が発表されているのが、小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」です。
【西之島】
小笠原諸島の西之島では、去年8月11日以降、山頂火口からの噴火は確認されていないものの、今後も噴火が再開する可能性があるとして、気象庁は、火口からおおむね1.5キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
【硫黄島】
硫黄島は、地面の温度が高く、火山活動がやや活発な状態が続いていて、気象庁は、火口やその周辺で噴火に警戒するよう呼びかけています。
海底火山に「噴火警報(周辺海域)」
「福徳岡ノ場」と「ベヨネース列岩」の2つの海底火山には、周辺海域に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。
【福徳岡ノ場】
小笠原諸島の近海にある「福徳岡ノ場」の周辺では、火山活動によると見られる海面の変色が確認され、気象庁は、小規模な海底噴火が発生すると予想されるとして、周辺の海域では警戒するよう呼びかけています。
【ベヨネース列岩】
伊豆諸島の青ヶ島の南にある「ベヨネース列岩」では、火山活動によるとみられる海面の変色や気泡が時々確認されています。気象庁は、小規模な海底噴火が起きる可能性があるとして、周辺の海域で警戒を呼びかけています。
警報なし・レベル1も注意
全国の活火山の中には噴火警報が発表されておらず、噴火警戒レベルもレベル1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはなく、気象庁や自治体が発表する情報に注意が必要です。
【阿蘇山】
熊本県の阿蘇山では3月1日から火口の直下で起き、地下の熱水や火山ガスの動きを示すとされる「孤立型微動」と呼ばれる特有の火山性微動が急増し、4日には1049回発生しました。孤立型微動の回数が1日に1000回を超えたのは平成26年10月以来です。また、2月9日から3月4日にかけて4回実施した現地調査では、火山ガスは1日当たり500から1300トンと増減を繰り返しながらおおむねやや多い状態で経過しているということで、気象庁では、火口付近では火山ガスなどに注意するよう呼びかけています。
【蔵王山】
宮城と山形の県境にある蔵王山では1月28日に山頂の南側が隆起する地殻変動を伴う火山性微動が発生してから火山活動が高まった状態が続き、気象庁は、1月30日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「火口周辺規制」を示す2に引き上げました。その後、2月4日以降、地殻変動が停滞し、2月8日を最後に火山性微動が観測されていないことなどから、気象庁は3月6日、火口周辺警報を解除し、噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」を示す「1」に引き下げました。気象庁は想定火口域の馬の背カルデラでは、噴気や火山ガスの噴出などが見られるということで、異変を感じた際には、速やかにカルデラから離れるよう呼びかけています。
最新の火山情報の確認を
各地の火山活動の状況や注意点は、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。・・・ 平成30年3月8日、NHK NEWS WEB 19時34分 配信より
私のコメント : 平成30年3月8日、各地の火山活動の状況や注意点は、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認できます。 「 最新の火山情報の確認を ! 」