秋篠宮さま きょう53歳に 大嘗祭めぐり政府決定と異なる意見 |
2018年11月30日 0時00分、NHK NEWS WEB 配信より
秋篠宮さまは30日、53歳の誕生日を迎えるにあたって記者会見に臨み、来年の皇位継承に伴う伝統儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」の費用に、公的な予算が充てられることについて、儀式の宗教色を踏まえ、天皇の生活費にあたる予算から支出されるべきだという考えを示されました。皇族が公の場で、政府の決定と異なる意見を述べるのは異例のことです。
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秋篠宮さまは、誕生日を前に紀子さまと記者会見に臨まれました。この中で、秋篠宮さまは皇位継承に伴う儀式などについて考えを尋ねられたのに対し、「大嘗祭」を取り上げ「宗教色が強いもので、国費で賄うことが適当かどうか」と述べられました。
そして、「宗教行事と憲法との関係はどうなのかという時に、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています」などと話し、憲法の政教分離の観点から、天皇の生活費などに充てられる予算の「内廷費」から費用を支出し、その範囲で儀式を行うべきだという考えを示されました。
政府は戦後の新しい憲法のもとで初めて行われた平成の「大嘗祭」にあたり、儀式の宗教性を踏まえ、皇室行事として行う一方で、国にとっての重要な儀式でもあるとして、費用は公的な予算にあたる「宮廷費」から支出していて、来年の大嘗祭もこの見解を踏襲して行われることが決まっています。
皇族が公の場で、政府の決定と異なる意見を述べるのは異例のことです。
秋篠宮さまは平成の「大嘗祭」の時から同じ考えだったということで、今回もこうした考えを宮内庁の長官などに伝えてきたとしたうえで、「話を聞く耳を持たなかった。そのことは非常に残念なことだった」と話されました。
一方、長女の眞子さまと、婚約が内定している小室圭さんの結婚に向けた行事が延期されていることについても、質問にこたえられました。
秋篠宮さまは、週刊誌などで「小室さんの母親が、知り合いの男性と金銭トラブルになっている」などと報じられていることを念頭に、「今でも二人が結婚したいという気持ちがあるのであれば、やはりそれ相応の対応をするべきだと思います」と述べ、小室さんの側から説明があるべきだという考えを示されました。
そして、眞子さまと小室さんにも、こうした考えを伝えているとしたうえで、「多くの人がそのことを納得し、喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約にあたる納采の儀というのを行うことはできません」と述べられました。
紀子さまは「家族として非常に難しい状況の中にありますが、私は長女の眞子がいとおしく、かけがえのない存在として感じられ、これからも、長女への思いは変わることなく、大切に見守りたいと思っています」と話されました。
また、秋篠宮さまは来年、皇位継承順位1位の「皇嗣」となるにあたっての抱負を尋ねられたのに対し、「一つ一つを、そのつど、そのつど考えながら、自分の仕事、もしくは務めを進めていくようにしたいと思っています」と述べられました。
そして、退位される天皇陛下については、「即位以来、象徴としての在り方について、常に模索し考えてこられ、全身全霊でお務めを果たしてこられた」と述べ、皇后さまについては「御結婚以来、60年近くにわたって陛下を支えてこられました」と振り返り、「これは、なかなかできることではないと思い、お二方に深く敬意を表するところです」と話されました。
宮内庁長官「決定済み方針に従い準備」
秋篠宮さまが「大嘗祭」の費用に関し、政府の決定と異なる意見を述べられたことについて、宮内庁の山本長官は記者会見の席で、「決定済みの方針に従って準備を進めてきたし、これからも準備を進めていく」としたうえで、「ご持論としてそういう意見をお持ちであるということで、そのとおり受け止めるしかない」と述べました。
また、「話を聞く耳を持たなかった」などと指摘されたことについては、秋篠宮さまの意見も聴いたうえで、宮内庁の考え方を説明してきたとし、「そのようにお受け止めになったのであれば、その点は申し訳なかったと思います」と話しました。
そして、政治色を帯びた発言と受け止められるのではないかという趣旨の質問には、「すでに決定済みのことだとおっしゃっていて、質問に答える形での発言であることも考えれば、政治的な発言ということまではないのではないかと思う」と述べました。
首都大学東京 木村教授「もっともな発言」
秋篠宮さまの発言について、憲法学者で首都大学東京の木村草太教授は「もっともな発言だ。前回の大嘗祭のあと、最高裁が大嘗祭には宗教性があるという判断を示していて、政府は来年の儀式の在り方について、前例の踏襲に終わらず、もっと慎重に検討すべきだった」と述べました。
そのうえで、「皇室の行事について、皇室の一員として述べられたもので、政治的な発言とまでは言えないが、秋篠宮さまがここまで踏み込んだ発言をしないといけない状況だと認識されていることに強い衝撃を受けた」と話しています。
麗澤大 八木教授「真意くみ取れない」
秋篠宮さまの発言について、憲法学者で麗澤大学の八木秀次教授は「大嘗祭は宗教的性格を有するが、憲法に定められた皇位継承を行ううえでの重要な儀式であり、皇室の私的行事とはならない。国費から支出することに問題はなく、議論も尽くされていて、何を懸念されているのか真意をくみ取れない」と述べました。
そのうえで、「予算の使い方について公の場で言及されたものであり、皇族による政治的な発言とも言え、決して無視できるものではない」と話しています。
元判事 園部さん「やむにやまれぬお気持ちに理解」
秋篠宮さまの発言について、最高裁判所の元判事で、皇室制度に詳しい園部逸夫さんは「皇族が内閣で決めたことに記者会見の場で意見を述べられるのは、喜ばしいことではないと思うが、宮内庁に話してもなにも変わらない中で、皇室にもこんな意見があるのだと知ってもらいたいという、やむにやまれぬお気持ちも理解できる」と述べました。
そのうえで、「これをきっかけに大、嘗祭の費用の在り方について議論が広がる可能性もある」と話しています。
大嘗祭とは
「大嘗祭」は、天皇が即位後、初めて新しく収穫された米などを天照大神とすべての神々に供えたうえで、みずからも食べ、国と国民の安寧や五穀豊穣などを祈る儀式です。
毎年11月に宮中祭祀として行われる「新嘗祭(にいなめさい)」を、即位後、初めて大規模に行うもので、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式とされています。
7世紀後半の天武天皇の時代から、歴代の天皇が即位後に「大嘗祭」を行うことが皇室の伝統となってきました。
「大嘗祭」では中心的な儀式として「大嘗宮の儀」と「大饗の儀」が行われます。このうち「大嘗宮の儀」は、特別に設営された「大嘗宮」と呼ばれる建物で行われる儀式で、前回、平成の「大嘗祭」では、皇居・東御苑におよそ100メートル四方の敷地を設けて行われました。
また、「大饗の儀」は、天皇が大嘗祭に参列した人たちを招いて催す饗宴で、前回は皇居・宮殿で3回行われ、三権の長や閣僚など、およそ730人が出席しました。
平成の「大嘗祭」では、「宮廷費」からおよそ22億5000万円が支出されましたが、「内廷費」の場合、法律で額が定められていて、今年度予算では、総額で3億2000万円余りとなっています。
大嘗祭の費用を現状の「内廷費」でまかなおうとすると、支出の大部分を占める大嘗宮の設営を見送り、「新嘗祭」と同様、皇居にある「神嘉殿」を使うしかなく、儀式の規模や内容は大きく変わることになります。
大嘗祭めぐるこれまでの議論
平成の「大嘗祭」は、戦後の新しい憲法のもとで初めて行われ、政教分離の原則との整合性をめぐって、さまざまな議論が生じました。
一部の学者や市民グループは、大嘗祭は神道に基づく宗教的儀式で、政府が関わるのは信仰を助長することになり、政教分離を定めた憲法に違反すると主張しました。
そのうえで、実施する場合は国事行為でなく、皇室の私的儀式とすべきで、費用は天皇の生活費などに充てられる「内廷費」から支出すべきだという意見が出されました。
政府は有識者から意見を聴くなどして、大嘗祭の位置づけや予算措置などについて検討を進めた結果、「宗教上の儀式としての性格を有するとみられることは否定することができず、国事行為として行うことは困難だ」とする見解をまとめました。
そのうえで、「一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式であり、皇位の世襲制をとるわが国の憲法のもとにおいては、その儀式について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手だてを講ずることは当然と考えられる」として、費用は皇室の公的な予算にあたる「宮廷費」から支出することが妥当だとしました。
これに対し、反対する学者や弁護士などが集会を開いて抗議の声を上げ、各地の住民から国費を支出したことや知事などが参列したことが憲法違反だとする訴えが起こされましたが、いずれの裁判も訴えられた国などが勝訴しました。
そうした中、平成7年の大阪高等裁判所の判決では、訴えを退けたうえで、「国費の支出は、国家神道を助長するような行為として、憲法に違反するのではないかという疑いは一概には否定できない」と指摘しました。
来年の大嘗祭について、政府はことし2月の式典準備委員会で、前回の政府見解やこれまでの司法判断を踏まえて検討を行い、その後の閣議で前例を踏襲することを決めています。
眞子さま婚約内定 今後は
眞子さまと東京都内の法律事務所に勤務する小室圭さんは、去年9月に婚約が内定しました。
お二人そろっての記者会見では、眞子さまが「居心地がよく、笑顔あふれる家庭をつくることができれば、うれしく思います」と述べられました。
結婚に向けた準備が進められ、宮内庁は一般の結納にあたる「納采の儀」や結婚式の日取りを発表しました。
しかし、去年の暮れ以降、週刊誌などが「小室さんの母親が知り合いの男性と金銭トラブルになっている」などと相次いで報じました。
そうした中、ことし2月、宮内庁は結婚に向けた行事の延期を発表します。この時、眞子さまは、ご自身と小室さんの気持ちを文書であらわし、「結婚までに行う諸行事や結婚後の生活について、十分な準備を行う時間的余裕がない」などと述べられ、宮内庁は、結婚は皇位継承に伴う重要な儀式が終わった再来年になる見込みだと説明しました。
眞子さまは、その後も7月にブラジルを公式訪問するなど、国内外で精力的に皇族としての活動に臨まれています。
一方、小室さんは弁護士資格の取得を目指して、ことし8月から3年間の予定で、アメリカ・ニューヨーク州のロースクールに通っています。
お二人の今後について、宮内庁の幹部は「結婚に向けた行事が再来年に延期されるという状況が覆ったわけではないが、小室さん側に『それ相応の対応』という重い課題が示された形だ。しっかりとした対応が取られなければ、正式な婚約には進めないということであり、今後の小室さん側の対応を注視していきたい」としています。
私のコメント :平成30年11月30日、秋篠宮さまは30日、53歳の誕生日を迎えるにあたっての会見に臨み、来年の皇位継承に伴う伝統儀式「大嘗祭」の費用に、公的な予算が充てられ、儀式の宗教色を踏まえ、天皇の生活費にあたる予算から支出されるべきだという考えを示されました。また、一方では、「皇族が内閣で決めたことに記者会見の場で意見を述べられるのは、喜ばしいことではない」という意見もあります。