【ハイ 檀です!】(156)蛸 |
2018.12.2 07:00地方福岡 、産経新聞 配信より
近ごろ、家で余り食べなくなったものの中に、蛸がある。この蛸だが魚偏の「鮹」とか「章魚」と記載される場合もある。面倒だからタコとカタカナか平仮名で「たこ」と書くと、子供の頃よく遊んでいたタコ揚げの凧と混同してしまいそう。日本語の中には橋、箸、梯、嘴、階、端という具合に、イントネーションに違いがあるものの、紛らわしい名詞や言い回しが多々あるから、留学生のような外国の方でなくとも混乱してしまうかも。ここからは親しみやすいように「タコ」と片仮名で表記させて頂こう。学生時代は、梅雨が空けると待ちきれぬように湘南や伊豆の海へと繰り出し、朝から晩まで海に浸かっていたこともある。こんな時、水中眼鏡だけは持っていたから、磯の辺りをよく覗いていた。すると、日に何回か岩陰に潜んでいるタコに遭遇した。タコは、触るとすぐに身を隠すのだが、しばらくするとまた姿を現す。そこで、思い切って手で頭の辺りを掴むと、旨い具合に生け捕り出来る場合がある。とは申すものの、小さめのタコでも海の中での力は想像出来ぬほどに強い。しっかり掴んだ積もりでも、8本の足を僕の手首に絡ませて来て、いつの間にか裏返しになって足の根元の真ん中にある口から歯を出して噛み付くのである。1度手袋なしでもろに噛み付かれた時には余りの痛さに驚いて手を離してしまった。いくら六十数年前の話とはいえ、東京近郊の海は禁漁区域。銛(もり)などを使用することは、漁師さんに見つからないまでも、違反行為。さりとて、海岸に近い釣り道具屋さんに、タイヤのチューブの反発力を利用した銛が売られていたから、左程気にする必要はなかったのかも知れない。という次第で、タコを捕獲して塩をまぶしてよく揉み、ヌメリを取らねばならぬことは父親から教わっていたのだが、生憎大量の塩は持ち合わせていない。そこで機転を利かし、磯にある砂を塩代わりにして揉み洗いをすると案外うまく捗(はかど)る。この作業を終えたら、海水でよく砂を落として鍋に海の水を汲んでタコを茹でた。30分くらい茹でただろうか、これでは短かったのが原因か新し過ぎたことが災いしたのか、噛み切れぬほどに固かった。致し方なく包丁で薄切りにして、飯を炊き込む際に醤油と共にタコを加えて炊いたら大成功。タコから予想もしなかった旨味が滲(し)み出たのと同時に、身が柔らかくなって食べ易くなり、味の方も料亭と迄は行かないが相当に旨かった。爾来(じらい)、生きたタコが売っていると無性に食べたくなり、ついつい購入。ついには妻の顰蹙(ひんしゅく)を買う始末。東京に住まっている時には、食べ手が足りないと電話一本で友人達が駆けつけてくれ、大きめのタコでも消費出来た。が、今は夫婦二人きりの暮らし。冷凍して置けばこのタコ1杯で1年は持つかも…。タコサラダ、カレー粉を塗した天ぷら、タコ飯、刺身という具合に料理をしても、足2本を消費するのは難しい。という現実問題が絡んで、タコ料理から遠ざかっている昨今。スーパーなどで小振りのマダコが売られているが、産地を見るとモロッコ産とか外国から来たものがほとんど。しかも茹でてあるから、料理方法が限定されてしまうのが難。ただ、父がポルトガルでよく食べていたタコの丸煮には最適。売られている小さめのタコを丸のまま鍋に水を張り1時間ばかりさらにボイル。取り出す頃には煮汁が赤黒く染まるけど驚くなかれ、このタコを大皿に取り出して熱いうちにオリーブ油をかけて塩とレモンで味わう。付け合わせには小振りの生のタマネギを1個とよく火を通したじゃが芋1個。これを、ナイフとフォークで味わっているとあたかもポルトガルの田舎のレストランにいる気分になるから爽快。
お隣の韓国を訪れると、市場にタコだけを売っている専門店があり、かなりのお客さんで賑わっている。面白いのは、茹で上げたタコを軒下に吊るし風を当てているかのようであった。韓国では、生の手長ダコをぶつ切りにしてゴマ油とコチュジャンをつけて味わう「サンナクチュ」が有名、加えてタコをタマネギやニンニクと共に炒めた「ナクチポックン」が大人気。だが、僕はまだ食べたことはないのだがタコの足をぶつ切りにして柔らかく煮込んだ旨い料理があるらしい。博多港から高速艇に乗り3時間で釜山港、是非このタコ料理にありつきたい。
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【プロフィル】だん・たろう
1943年、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。CFプロデューサー、エッセイストとして活躍し、「新・檀流クッキング」などの著書多数。妹は女優の檀ふみさん。
私のコメント : 平成30年12月2日、 「 小さめのタコでも海の中での力は想像出来ぬほどに強い。しっかり掴んだ積もりでも、8本の足を僕の手首に絡ませて来て、いつの間にか裏返しになって足の根元の真ん中にある口から歯を出して噛み付くのである。1度手袋なしでもろに噛み付かれた時には余りの痛さに驚いて手を離してしまった。いくら六十数年前の話とはいえ、
東京近郊の海は禁漁区域。・・・・・・・・
韓国では、生の手長ダコをぶつ切りにしてゴマ油とコチュジャンをつけて味わう「サンナクチュ」が有名、加えてタコをタマネギやニンニクと共に炒めた「ナクチポックン」が大人気。だが、僕はまだ食べたことはないのだがタコの足をぶつ切りにして柔らかく煮込んだ旨い料理があるらしい。博多港から高速艇に乗り3時間で釜山港、是非このタコ料理にありつきたい。 」
壇太郎氏は、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。壇太郎氏の妹は、女優の檀ふみさん。

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)
檀 一雄/中央公論新社
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優れた芸術作品をつくるなど芸術の分野で大きな業績をあげた人に贈られる2016年度の日本芸術院賞に、小説家の高樹のぶ子さん(70)や歌舞伎の市川左団次さん(76)ら9人が選ばれた。このうち、書家の高木聖雨(せいう)さん(67)、評論家の渡辺保さん(81)、作曲家の一柳慧(いちやなぎとし)さん(84)は恩賜(おんし)賞にも選ばれた。受賞者と受賞対象は次の通り。(敬称略)
【恩賜賞・日本芸術院賞】書家・高木聖雨=「協戮(きょうりく)」▽評論家・渡辺保=演劇全般の長年にわたる評論の業績▽作曲家・一柳慧=幅広い作曲活動
【日本芸術院賞】日本画家・西田俊英(63)=「森の住人(すみびと)」▽洋画家・根岸右司(ゆうじ、79)=「古潭風声(こたんふうせい)」▽小説家・高樹のぶ子=様々な類型の人間関係を緻密(ちみつ)に考察し、豊かな物語性を織り込んだ小説を造型▽能楽師(シテ方)・大槻文蔵(74)=優れた舞台成果、大阪能楽界の発展と後進育成▽歌舞伎俳優・市川左団次=「助六由縁江戸桜」の髭(ひげ)の意休(いきゅう)役、「仮名手本忠臣蔵」の高師直(こうのもろなお)役と桃井若狭之助役の演技▽歌舞伎長唄唄方・鳥羽屋里長(りちょう、81)=長年にわたる歌舞伎長唄の業績 ・・・2017年3月22日、朝日新聞デジタル 18時34分 配信より
私のコメント : 平成29年3月22日、優れた芸術作品をつくるなど芸術の分野で大きな業績をあげた人に贈られる2016年度の日本芸術院賞に、小説家の高樹のぶ子さんや歌舞伎の市川左団次さんら9人が選ばれた。 防府市 天神まちかどフェスタにて、私は、高樹のぶ子さんをまじかに見たこともある。森鴎外、永井荷風、佐藤春夫、伊藤 佐喜雄、折口信夫、池田弥三郎、松本清張、壇一雄、太宰治、川端康成、三島由紀夫、・・・・・ その三田文学にも、興味も持たれ、今後の執筆活動についても、小説家 高樹のぶ子さんへ期待をしている。





























































