「無給医」全国で2191人 国が初めて認める |
「無給医」全国で2191人 国が初めて認める
文部科学省は、ことし1月から全国108か所の医学部や歯学部の付属病院で診療にあたっている3万人余りの医師の給与や雇用の状況について調査しました。
その結果、全国50の大学病院に2191人の無給医がいることが確認できたと28日公表しました。
大学病院ごとの無給医の数は、順天堂大学医学部付属順天堂医院で197人、北海道大学病院が146人、東京歯科大学水道橋病院が132人、岩手医科大学付属病院が123人、昭和大学歯科病院が119人、愛知学院大学歯学部付属病院が118人、杏林大学医学部付属病院が95人、東北大学病院と大阪歯科大学付属病院、そして山口大学医学部付属病院が94人などとなっています。
また、東京大学や慶應義塾大学など7つの大学病院は1304人の医師について、「調査中」と回答しました。
国が無給医の存在を認めたのは今回が初めてです。
今回、無給医の存在を認めた50の大学病院は今後は給与を支払うよう改めるとしています。
また、国も今後、大学が取り組む改善策が適切に行われているか、確認するとしています。
無給医とは
「初期研修」と呼ばれる最初の2年間は月給30万円ほどが手当てされますが、そのあとも大学の医局に所属しながら「大学院生」や「医局員」などの立場で数年間にわたり、若手医師として診療などの経験を積むケースがほとんどです。
医局は教授を頂点とし、准教授、講師、助教と連なるピラミッドのような構造となっていて、最も下に位置する大学院生や医局員などは医師として診療にあたっていても無給だったり、わずかな給与だったりすることがあるということです。
しかし、医局に所属する若手医師は専門医や医学博士の資格などを取るためや関連病院に出向する際の人事権などを握られているため、現状の制度に対して医局の上司らに疑問や不満の声を上げづらく、問題が顕在化しなかったと見られます。
この無給医の問題が長年見過ごされてきたことで医師の過重労働につながったり診療の質にも影響したりしていると指摘する専門家もいます。
専門家「労基法上も違法の可能性」
柴山文科相「大変遺憾 改めるのが当然」
厚労省「医師の労務管理適正化を支援」
医局は教授を頂点とし、准教授、講師、助教と連なるピラミッドのような構造となっていて、下に位置する大学院生や医局員などは医師として診療にあたっていても無給だったりすることがあるということです。
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社会健康医学の大学院大学 静岡県が構想案固める
静岡新聞NEWS 配信より(2019/1/24 08:04)
吉林章仁副知事(右)に意見書を手渡す本庶佑委員長=23日午後、静岡市葵区吉林章仁副知事(右)に意見書を手渡す本庶佑委員長=23日午後、静岡市葵区
大学院大学基本構想案のポイント大学院大学基本構想案のポイント
静岡県が県民の健康寿命延伸を目的に推進する「社会健康医学」研究を促進するための有識者委員会(委員長・本庶佑京都大特別教授)が23日、静岡市葵区で開かれ、県は開設を目指している大学院大学の基本構想案を固め、明らかにした。
県は委員会が同日、提出した意見書の内容を踏まえて案を修正し、本年度中に基本構想を決定する。
社会健康医学は健康増進や疾病予防に重点を置く新たな学問。基本構想案によると、大学院大学は、県民の健康寿命延伸に資する研究課題の科学的な分析を通じ、国際社会に貢献する「知と人材の集積拠点」を目指すことを基本理念に掲げた。
入学定員は1学年10人程度で、施設は社会健康医学研究を実施している県立総合病院(静岡市葵区)の先端医学棟リサーチサポートセンターを有効活用するとした。隣接する環境衛生科学研究所の施設の活用も検討する。
これに対し有識者委は意見書で、県や市町の健康増進施策、疾病予防対策のシンクタンクとなる大学院大学とする▽県の地域医療、健康づくりなどの現場でリーダーとなり得る人材の育成▽働きながら学び、社会健康医学修士の学位取得することができる教育―など6項目を求めた。
本庶委員長は会合後、取材に「静岡県は全国的にみて医師が非常に不足している。(大学院大学が)全国から人材を呼び込む発信拠点になることを期待している」と述べた。