「法福連携研修会」の様子 (上:平成24年度、下:平成25年度 くわなメディアライヴ)
1. 行政社会福祉士の現状
(1) 困難事例解決を期待され増加する行政社会福祉士 ① 地方自治体に配置される社会福祉士の状況 地方自治体の業務は専門分化が進み、専門職の割合は増加傾向にある。中でも医療・福祉専門職の数は多く、特に保育士や保健師の割合は高い。最近では社会福祉士の配置も進んでいるが、その数は決して多くはない。 社会福祉士は昭和62年に社会福祉士及び介護福祉士法で制度化された国家資格で、高齢者や障害者を「相談」によって支援する専門職である。平成26年4月30日現在で全国に176,722人、三重県で2,853人の社会福祉士が存在している。その就労先は多くが社会福祉法人、医療法人などの民間団体・企業であり、地方自治体に勤務する社会福祉士(以下、「行政社会福祉士」という)は多いとは言えない。 現在、私の勤務する桑名市役所(平成26年3月31日現在の人口142,510人、職員約1,200人)でも社会福祉士はわずか5人(平成26年4月1日付で増員された2人を含む)に過ぎず、それもここ数年で急速に採用を増やした結果である。現在は高齢者福祉部門に3人(平成26年4月1日に1人増員)、障害者福祉部門に1人(平成25年7月1日に新規配属)、生活保護部門に1人(平成26年4月1日に新規配属)が配属されている。ただし、本来社会福祉士の活躍が期待される生活保護部門には、ようやく平成26年度になって初めて正規職員が配置され、児童福祉部門には嘱託職員及び三重県からの派遣職員が配属されているのみで、正規職員は配属されていない。現在配属されている5人については、部署は異なっていても、高齢者や障害者等の権利擁護に関する業務に携わっており、中でも成年後見制度の利用支援や虐待の対応は所属部署が異なっていても共通する業務となっている。現状では行政社会福祉士は保育士や保健師に比して絶対数は少ないものの、昨今の地域における福祉課題は複雑化、多様化する傾向にあり、それに適切に対応していくために地方自治体への社会福祉士の配置は徐々に増加し始めていると考えられる。
表1 桑名市役所における正規職員の社会福祉士数 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 社会福祉士 1人 2人 2人 3人 5人
※ 平成26年度は正規職員以外に2人(県派遣職員1人、嘱託職員1人)がいる。
② 行政社会福祉士の役割 行政社会福祉士が地方自治体において担う役割は高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉・生活保護など福祉全般で広範にわたるが、共通して求められているものは、一定水準以上の専門性を活かして支援困難な個別事例を支援・解決していくことにある。 私が所属する地域包括支援センターにおいては、高齢者に関する医療・保健・介護・福祉が主な相談内容とはされているが、実際には虐待、成年後見制度、消費生活被害、多重債務・生活保護などの経済的困窮、遺言・相続・遺贈、賃貸などの法律トラブルなど内容は多岐にわたる。当然、これらの内容が単発的に課題となっているのではなく、複数の課題が複雑にからみあって支援が困難になっていることがほとんどである。 社会福祉士は国家試験合格によって付与される資格であるが、試験科目は以下の表2 のように19科目に及び、幅広い知識が問われる。社会福祉士は「相談」の専門職であり、相談者の有する課題を見出し、それを解決すべく様々な制度やサービス、あるいは専門機関や専門職につないでいく。要するに幅広い制度やサービスの知識、専門機関や専門職とのネットワークがないことには仕事は十分にすることができないのが現状である。 結論として、行政社会福祉士の期待される役割は、幅広い知識とネットワークを活かした個別相談支援を行うことにより、地域福祉を推進することにあると考えられる。
表2 社会福祉士国家試験科目1. 人体の構造と機能及び疾病 3. 社会理論と社会システム 5. 地域福祉の理論と方法 7. 社会保障 9. 低所得者に対する支援と生活保護制度 11. 権利擁護と成年後見制度 13. 相談援助の基盤と専門職 15. 福祉サービスの組織と経営 17. 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 19. 更生保護制度 2. 心理学理論と社会システム 4. 現代社会と福祉 6. 福祉行財政と福祉計画 8. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 10. 保健医療サービス 12. 社会調査の基礎 14. 相談援助の理論と方法 16. 高齢者に対する支援と介護保険制度 18. 就労支援サービス
(2) 求められる役割にとどまらない行政社会福祉士 ① 自らの存在価値を模索する行政社会福祉士 少数ながらも地方自治体で活動する行政社会福祉士は、地域において増加する福祉課題を有する支援困難事例の解決を図るべく、実情に応じて徐々に配置されてきた。そのため、市町村によって配置にばらつきがあり、全く採用していない地方自治体は採用に消極的であり、採用をした地方自治体はその有用性を認識し、次第に増員している傾向を感じる。このように現場のニーズによって適宜配置されてきたことから、依然として行政社会福祉士の役割は広く認識されておらず、組織化も進んでいない。行政社会福祉士の多くは公益社団法人日本社会福祉士会や地域における社会福祉士グループに所属して私的にネットワーク構築に努め、業務の遂行に活かしているが、あくまで私的な努力水準であり、そのネットワークの対象も個人差が大きいのが実情である。ネットワークの対象も社会福祉士のみならず、介護支援専門員、弁護士、民生委員、医療機関など広範であることが求められる。ネットワークの構築は業務遂行に直結するものであることから、職能団体のみならず、行政社会福祉士の組織化も必要ではないかと感じている。行政社会福祉士は民間に所属する社会福祉士とは別に、地方自治体に所属しているからこそ果たせる役割があるはずである。現在では個別の事例に対応することに追われているが、個別の事例にいくつも取り組んでいく中で共通する課題を見出し、その課題を地域の課題としてとらえ、社会資源を創るなどして解決を図っていくことも求められているのではなかろうか。行政社会福祉士は求められる対症療法の役割だけではなく、根治療法をめざしていくことで新たな役割を果たすことができよう。今回は、そのような試みとして桑名市において地域課題の解決に向けて行った法律専門職と福祉専門職のネットワーク構築「法福連携」の取り組みを紹介したい。 ② 「法福連携」に取り組んだ背景 地域包括支援センターは困難な福祉課題を有する個別事例に対し、社会福祉士が相談支援を行っている。桑名市でも他の地域包括支援センター同様に、支援困難事例への対応に日々追われているのが現状である。しかし、受ける相談の内容は一定の原因に分類できるように感じた。支援困難事例とは、まさに支援に携わる専門職が困難と感じる事例を指し、困難かどうかは支援者の主観的なものであるため、定義付けが困難である。つまり、現場で生まれた用語であり、支援者個人や組織によって支援困難事例は質、量ともに大きく異なる。 しかし、支援困難事例ひとつひとつの原因を調査していけば、背景にある原因がみえてくるはずである。その数が多い原因については、同じ要素に起因する支援困難事例に何度となく支援者は時間と労力を浪費していることになる。対症療法に追われるのではなく、根治療法を行えば、その対応への苦労は減少するはずである。 平成18年11月に生活福祉研究機構が地域包括支援センターを対象に実施したアンケート調査によれば、支援困難事例の原因は表3 のようなものだった。これは全国的な調査であったが、各地域によって当然に地域差・組織差・個人差が出てくる。そこで、桑名市においても困難事例の要因を把握すべく、桑名市独自に「困難事例要因調査」を実施した。調査は市内の全地域包括支援センター5ヶ所を対象に平成25(2013)年11月1日から同年11月27日にかけて実施した。結果は表4 の通りであったが、「家族との関係」「親族・地域との繋がり」などが上位の要因として並ぶが、特徴的なのは、破産などの債務整理を含んだ「経済的困窮」が41.1%、成年後見、消費生活被害などを含む「法務関連」が28.3%にのぼったことである。他の要因と異なり、これらの課題解決にあたっては福祉専門職のみでは困難で、法律専門職との連携が不可欠である。 例えば、桑名市内の地域包括支援センターで受ける相談では遺言・相続・遺贈・多重債務・消費生活被害・成年後見制度といった法律関係の相談が経験上多いが、結局これらの内容の相談を受ければ一般的な質問には回答できるものの、詳細な内容ともなると福祉専門職ではお手上げの状態になる。その解決策は当然、法律専門職や専門機関につなぐことである。具体的には弁護士・司法書士・家庭裁判所・公証人役場・日本司法支援センター(法テラス)・地域生活定着支援センターなどである。これらとの連携は法律に関する相談が多い以上、不可避である。しかし、そのような現状にもかかわらず、法律専門職と福祉専門職の連携は不十分であり、これこそが桑名市における地域課題であると考えられた。この地域課題を解決すべく、行政社会福祉士の立場でいくつかの取り組みを試みた。これらの地域課題を解消していくことで、高齢者が住み慣れた地域で可能な限り生活することのできる体制「地域包括ケアシステム」の構築に徐々に近づくことが可能となる。以下はその実践報告である。
表3 全国における困難事例要因(単位:%)社団法人生活福祉研究機構編『地域包括支援センターにおける困難事例への対応に関する調査研究報告書』、2007、P223を改変
表4 桑名市における困難事例要因西村健二著『「高齢者世帯における困難事例の要因等に関する調査」中間報告書』、桑名市地域包括支援センター、2014、P9より
2. 行政社会福祉士が取り組む「法福連携」の実践例
(1) 業務上で取り組む実践例 ① 実践例①個別支援における成功体験の蓄積 桑名市には地域包括支援センターが直営型1ヶ所、委託型4ヶ所の合計5ヶ所があり、それぞれに保健師(あるいは経験のある看護師)・主任介護支援専門員・社会福祉士が配置されている。 ただし、委託型には虐待対応や成年後見制度に関しては活動内容に制限がある。例えば、虐待対応では虐待を受けている高齢者を施設に措置入所したり、高齢者の自宅に立入調査したりする権限は与えられていない。また、成年後見制度でも市区町村長申立て、戸籍等の公用交付などはできないため、これらは直営型が請け負うことになる。このように直営型は委託型と緊密に連携してサポートする形をとっており、支援困難事例が生じた際にも直営型の職員が助言等にあたる。
(中略)
② 実践例⑦各種研修会での講師依頼 桑員地域の社会福祉士有志で構成され、桑名市の行政社会福祉士が副会長を務める桑員社会福祉士会では、休日や時間外を利用して勉強会を実施している。その中で地元弁護士を講師に招いて債務整理方法や法テラスの利用方法などについて講義を担当してもらっている。 また、三重県健康福祉部長寿介護課主催の虐待対応に関する研修会や交流会では年5回程度、弁護士に講師を依頼している。桑名市の行政社会福祉士が研修の企画立案に参加しており、平成25年6月28日には桑名市の行政社会福祉士が桑名市内の弁護士とともに模擬事例を用いた講義を行った。 社会福祉士を対象とした研修会は県単位の広域開催が多いが、このような機会を利用して地元弁護士と社会福祉士の交流・協働機会を設けている。
3. 行政社会福祉士の今後
(1) 課題と結論 ① まとめ これまで、高齢者福祉分野では医療と福祉の連携が強く叫ばれてきたが、支援困難事例においては法律専門職との連携が不可欠である。しかしながら、桑名市では法福連携は不十分な状態にあったため、法律トラブルを抱えた事例に対し、福祉専門職は繰り返し時間と労力を割いてきた。桑名市では行政社会福祉士が地方自治体に属する立場から、法福連携が十分でないという地域課題を見出し、その解消に向けていくつかの実践を試みてきた。法福連携を実現すれば地域の福祉の進展につながると考えられる。行政社会福祉士という立場を活かして業務の内外を問わず、法福連携の実現のための機会を積極的に設け、今後も引き続いて地域福祉の推進に努めていきたいと考えている。 以上が行政社会福祉士として取り組んだ法福連携推進の実践報告であるが、行政社会福祉士の果たすべき役割はまだ明確に定まっていない。そのうえ、課題も多いことが明らかになっている。行政社会福祉士はいまだに少数であり、その配置も地域差が大きく、組織化もされていない。多くの行政社会福祉士は日々の業務上で取り組むべき個別案件が多く、広域的視点をもって大きな地域課題に取り組む機会は少なく、使用する地方自治体側でもそのような役割まで求めていないのが現状である。私たち行政社会福祉士は地方自治体に所属することと専門性を相乗的に活かし、地域にその存在価値を示していかねばならない。地方自治体や地域のニーズから求められた役割を果たすだけの現状に甘んじてはいけないのである。そのためには自ら積極的に動き出し、地域と地方自治体における行政社会福祉士の果たすべき役割を見つめ直し、行政社会福祉士自身が協力して活動していかなければならないと考える。私たちの行動は小さいものであるが、徐々に実績を重ねて信頼を得、存在価値を示すことで、最終的には地域に還元すべき利益の最大化を図らねばならない。この目標に向け、われわれ行政社会福祉士は不断の努力と創意工夫を求められているのである。行政社会福祉士の活躍はこれからが本番である。
行政社会福祉士が取り組む「法福連携」 (jichiro.gr.jp)
配信より
令和4年6月23日、山口県 健康福祉部 厚政課まで行き、国からのコロナウイルス感染症対策 事業における対応もあり、山口県 健康福祉部 厚政課 保護医療班 林聡美 主任と 面談し、私からの要望を 山口県 健康福祉部 厚政課 保護医療班のもとに入れた。 [
令和4年6月23日、国による、コロナウイルス感染症対策支援 等における一連の対応があり、山口県 山口健康福祉センター 保健福祉・総務室 大玉一貴 総務担当 主査と私は、対談する。 令和4年6月23日、山口県 萩市農業委員会 國光貴子事務局長と私は、対談する。 令和4年6月22日、山口県 山口健康福祉センター 保健福祉・総務室 大玉一貴 総務担当 主査と私は、対談する。 令和4年6月22日、山口県 山口市 吉敷 にある 参議院議員 事務所 事務局長と私は、対談する。 令和4年6月21日、国による、コロナウイルス感染症対策支援 等における一連の対応があり、山口県 山口健康福祉センター 保健福祉・総務室 大玉一貴 総務担当 主査と私は、対談する。 令和4年6月21日、山口県 萩市農業委員会 國光貴子事務局長と私は、対談する。 令和4年6月21日、国による、コロナウイルス感染症対策支援 等における一連の対応があり、山口県 健康福祉部 厚生課 総務管理班 山本真吾 主任主事と対談する。 令和4年6月21日、国による、コロナウイルス感染症対策支援 等における一連の対応があり、山口県 総務部 人事課 総務企画班 中谷真希 主任主事と対談する。 令和4年6月14日、国による、コロナウイルス感染症対策支援 等における一連の対応もあり、山口県 健康福祉部 こども・子育て応援局 こども政策課 保育・母子保健班長 三木昌子 主幹と私は、山口県 健康福祉部 こども政策課 伊藤香緒利課長が、山口県 中部社会福祉事務所 地域福祉推進室 社会福祉主事として その対応もされていた 事案・案件、その当時から 継続し 現在もあるため、よって、その内容に沿い、対談した。