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現代生活を教える 家庭科教諭の仕事
栄養士資格の生かし方はさまざまです。今回は栄養士の資格を持ち、千葉県内の公立高校で家庭科教諭の仕事をしている相浦知子さんに、仕事内容、今後の活動をうかがいました。
更新日:2008年03月15日
大石 淳子
現代生活を教える 家庭科教諭の仕事 [介護・福祉業界で働く・転職する] All About 配信より
栄養士資格の生かし方はいろいろあり、働き方は多様です。栄養士と家庭科教諭の資格をもち、「食は人間を作る基本。家庭科は社会生活を学ぶための大切な科目」と考えて、千葉県内の公立高校で家庭科を教えている相浦知子さんに、仕事の内容や今後の活動をうかがいました。
食物を通じて人と関わりたい
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| 千葉県内の公立高校で家庭科を教えている相浦知子さん。家庭科教諭の仕事を始めてから15年以上のキャリアをもつ。 |
初めに仕事の内容を聞かせていただけますか?
相浦知子さん:
家庭科の授業を週に16~18時間担当して成績をつけるほか、クラス担任やクラブ活動の指導、校務があります。テストのスケジュールや時間割を組んだり、学校案内の作成、保護者と生徒が参加する芸術鑑賞会の企画、教育実習生を担当することもありますよ。
授業前には教材作りもします。家庭科は生活に関することが何でも教材になるので範囲が広く、生徒からの質問に備えて、日頃から新聞を読んだり情報収集しています。
ガイド:
家庭科教諭になったきっかけはどんなことでしたか?
相浦さん:
「食」に関する仕事がしたいと考えて「食物」を学べる大学を選びました。
というのは、父が以前、生活習慣病で、母が脂肪や塩分を控えた食事を作っていたんです。それを食べて父も家族も体の調子がよくなった経験から、食に興味を持ちました。
仕事に生かすことを考えて大学に進んだので、就職に有利なように資格を取得しておきたくて、栄養士課程と教職課程の両方をとりました。
初めは、卒業後、加工食品の企業などで、食品分析や商品開発をしたいという希望もあったのですよ。でも在学中に食品衛生の研究をしていく中で、研究職に向いていないと感じたのです。
ガイド:
向いていないと思ったというのは?
相浦さん:
大学では食肉にどれくらい抗生物質が残留するか?という研究をしていたのですが、細菌の発育状態にあわせて、自分のスケジュールを組んでいました。実験チーム内での人付きあいが主になったこともあり、もっと広く人とかかわりたいと思ったのですよ。
教諭の仕事は福利厚生がしっかりしていると聞き、自分の時間を有効に使えるのではないかと考えたり、人間相手の仕事をしたいとも思い始めましたね。学生生活が終わっても学校に勤めることで、それまでと同じように季節を追えることもまた、教諭の仕事に魅力を感じました。
仕事はずっと続けようと思っていたので、教諭の仕事は育児休暇をきちんととれることも、選ぶ際のポイントになりました。
次のページでは、栄養士の資格から広がる仕事についてです!
栄養士の資格から広がる仕事
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| 生徒たちが、自分らしい生活を考えていけるような授業にしたい。現代は自分の家庭生活を、人に賃金を支払って任せることもできるが、それも選択肢の一つとして、自分はどう生活していきたいのかを、見つけてほしい。 |
どんな授業をするのですか?
相浦さん:
家庭科では、食物、衣服、住居、家庭経済、高齢者、保育、環境について教えています。
「食物」の授業では実習があり、市販の飲料中の糖度を調べて、入っていた砂糖の量を実際に計って確認したり、ジュースがどれくらいの果物の量で作られているのか調べたりします。添加物や着色料の話もします。
調理関連の実習では、豆腐、ギョーザの皮、だしのとり方の授業や、生クリームからバターを作成して、さらにバターからお菓子を作ることもありますよ。
ガイド:
栄養士資格も取得していたことについてはいかがですか?
相浦さん:
家庭科は食生活だけを取り扱うのではないのですが、食は人間を作る基本であり、食事をしないと命を落とします。栄養士課程で学んだことはベースとなっていますね。
例えば「高齢者」の授業では、口から食べる大切さを教えていますし、「保育」の授業では、離乳食や子どもの食事のとり方やおやつについて、「環境」では食料自給率やフードマイレージについて話します。
「家庭経済」の授業では生涯賃金、ライフワークバランス、社会福祉などについて話しますが、食は間接的に関係します。
また校務では、文化祭の食品衛生や大量調理、配膳計画などについて指導することがあります。運動部の顧問をすると、運動生理や合宿前の食事を指導することがあり、授業以外の仕事でも食や栄養分野を担当することが多くあります。
栄養士を目指す生徒には、進路や入試対策の指導もしますよ。
次のページでは、自分の生活を楽しめるかが大切、についてです!
自分の生活を楽しめるかが大切
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| 教員は生徒のモデルになる必要がある。一度社会に出た人も、社会経験があることはプラスになるでしょう。 |
やりがいを感じるのはどんな時ですか?
相浦さん:
家庭科の授業で飲料に含まれる糖度実験をした後に、糖度の高い飲みものを控えたり、お茶を持ってくることがペットボトルなどの容器を減らすことにつながって、エコに貢献できると生徒が話してくれた時などは、とても嬉しいです。それと卒業生が「先生の授業で習ったことを、自分の子どもにも教えているよ」と言ってくれると、教育職に携わることができた幸せを感じますね。
ガイド:
家庭科教諭を目指す人はどのようにしたらいいですか?
相浦さん:
教職課程が取れる大学で勉強することです。教育学部や、栄養系や被服系の大学で取得できます。栄養系の大学には、教職課程で家庭科教諭と栄養教諭の両方と、栄養士をとれるところもあります。栄養・被服系は女子大学が多いので、男性には狭き門かもしれないですね。そこはすごく残念ですけれど。条件はありますが、社会人でもチャレンジできますよ。
ガイド:
家庭科教諭に向いている人はどんな人だと思いますか?
相浦さん:
生活全般が教材になるので、自分の生活を楽しめる人が向いていると思いますね。そして好奇心を持ってアンテナを高くし、情報を得ていくことも大切だと思います。世界はどんどん進んでいますからね。
私の場合は普段から行事を大切にしています。節句の飾りつけをしたり、行事食を作ったりします。家庭菜園やガーデニング、子どもと一緒に味噌作りをするなど楽しく過ごしてますよ。
次のページでは、家庭科の将来に必要なものは? についてです!
家庭科の将来に必要なものは?
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| 現代の家庭科は、調理・裁縫だけではなく、生活全般を学ぶ。生徒が自ら生活を考えるきかっけになるような授業をとおして、家庭科を学ぶ意味を生徒に伝え、そこからまた多くの人に広げたい。 |
ガイド:
この仕事を続けていくにはどんなことが必要ですか?また将来性をどのように思いますか?
相浦さん:
進学に直接関係しないという点では、家庭科の将来は今のところなんとも言えません。生徒や親、そして世の中が、家庭科があってよかったと、家庭生活を大切にする動きになれば、将来的に採用枠は拡大すると考えられます。
家庭科は主体性をもって、自分の生活を作っていける大人になるための勉強。社会生活を学ぶための大切な科目です。少子高齢化、環境問題やワーキングプアなど、さまざまな社会問題と対峙する基本にもなると思うのです。
授業参観や地域の活動などで、家庭科でやっていることをさらにアピールして、家庭科を学ぶ意味を生徒に伝えていく必要があると思います。
この仕事を続けていくには、仕事だけではない家庭生活、地域生活を通じた個人のあり方を考えていかなければならないですね。自分の生き方も生徒の教材になるので、私自身の仕事・地域・個人のワークライフバランスを考えるようになりました。
ガイド:
今後はどのような活動をしたいですか?
相浦さん:
私が学んだ栄養学は西洋的観点からの学問なので、薬膳やマクロビオティックなどの東洋的な食の教養を深めたいです。これからの生徒は、栄養を学ぶ際に東洋的な食の知識も必要になってくると思います。
また地域の中で、母親として子育てを通じてスポーツ栄養を発信したいです。自分の子どもが野球を始めたので、試合前の食事、体をつくる食べもの、スポーツドリンクについてなど、栄養の勉強したことを、地域生活でも生かしていきたいですね。
ガイド:
最後に読者にメッセージをお願いします!
相浦さん:
これからの栄養士は、料理法はもちろん、野菜であれば、いつ(旬)どこ(地理)で取れるのか、いつぐらいからどのように食べられてきたのか(歴史的な背景)など、幅広い知識が要求されると思います。教員の仕事も同じで、生徒や物事を多面的に捉えることが必要です。
■編集後記
インタビュー時、ちょうど育児休暇中でお子さんと一緒だった相浦さん。実体験にもとづく生きた授業、そして生活にあわせた内容を生徒が調べたり体験し、感じて、考える授業をしているのですね。家庭科は食生活をふくめたトータルライフスタイル理論。これから社会生活を送る人々のプレ体験の場でもある、と感じました。
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