<TPP>200品目超、自由化へ |
政府関係者によると、日本は80%台の自由化率を提示したが、シンガポールなどは100%近い自由化率を提案した模様。90%超の自由化率を示す新方針は、交渉行き詰まりを避け、交渉の主導権を確保する狙いとみられる。
これにより、少なくとも約200品目が新たに自由化対象になる可能性が高くなった。仮に自由化率を90%とした場合、コメや乳製品などの重要5項目以外で関税を維持できるのは約300品目。今後の交渉では鶏肉やサケ・マス、合板など関税撤廃の影響が大きい分野が調整の焦点となりそうだ。
日本が過去に13カ国・地域と締結した経済連携協定(EPA)では、10年以内に関税を撤廃する品目の割合を示す自由化率は84~88%だった。それを超えるレベルの自由化に踏み込む姿勢が明確になる。
日本の関税対象品目数は計9018ある。このうち農林水産品834品目と鉱工業品95品目は過去に関税を撤廃したことがない。
自民党が「関税撤廃の例外」を求めているコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目は計586品目あり、全品目の6.5%。重要5項目の関税を維持しつつ自由化率を90%とする場合、鉱工業品をすべて自由化したと仮定しても、農林水産品の一部を自由化対象に加えなければならず、関係業界の反発は避けられない。
交渉参加国の間では、最終的な自由化率が90%台後半との見方が強く、重要5項目の一部についても譲歩を迫られる可能性は少なくない。
甘利明TPP担当相は「各国の事情を踏まえレベルを上げていくことが重要」との立場を変えておらず、最終的には安倍晋三首相の政治判断が求められることになる。【中井正裕】
【キーワード】重要5項目
日本政府がTPP交渉で関税撤廃の除外を求めると明言しているコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖。砂糖はサトウキビやデンプンなど甘味資源作物を指す。品目数でみると、例えばコメは、玄米や精米、米粉などさらに58品目に細分化され、5項目すべてでは計586品目に上る。今年4月、衆参両院の農林水産委員会は、重要5項目を関税撤廃から例外扱いするよう求め、それができない場合は交渉脱退も辞さないとする国会決議を採択した。今回のブルネイ会合で、日本は、重要5項目の関税撤廃の扱いを「未定」と各国に提示。未定とすることで相手国の反応をうかがい、関税以外の交渉も取引材料にしながら、例外扱いを求める戦略を取った。 ・・・ 平成25年8月31日(土)、毎日新聞 8時30分配信より
私のコメント : 今年4月、衆参両院の農林水産委員会は、重要5項目を関税撤廃から例外扱いするよう求め、それができない場合は交渉脱退も辞さないとする国会決議を採択しているが、自民党が「関税撤廃の例外」を求めているコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目は計586品目あり、全品目の6.5%。重要5項目の関税を維持しつつ自由化率を90%とする場合、鉱工業品をすべて自由化したと仮定しても、農林水産品の一部を自由化対象に加えなければならず、日本の農林水産業に従事されている農家、水産業者は、今後の進展も、しっかりと見守って行かなければいけない。